研究課題
若手研究(B)
H24年度は骨形成性蛋白 Bone Morphogenic Protein (以下BMP)のうちBMP7やBMP signaling pathwayの下流の分子であるpSmad1/5/8についての免疫染色を行った。BMP7の発現とその臨床病理学的意味に関してはH24年度に開催された全国学会で発表した。BMP7は完全切除肺癌症例のリンパ節転移に関与していることが判明した。また、無再発生存率ではBMP7発現症例は予後不良の傾向にあったが有意差が出るほどの差は認めなかった。しかし、全生存率においてはBMP7陽性症例は陰性症例に比べて有意差をもって予後不良であった。このことより再発症例での予後を検討したところ同様にBMP7陽性症例は予後不良であることがわかった。pSmad1/5/8に関しては免疫染色自体は終了している。今後その発現の評価をし、臨床病理学的意義を追求する予定である。
3: やや遅れている
先ずは手術検体の研究目的での使用の同意の得られている完全切除肺癌症例のデータベース作成に時間を費やしたためあまり多くのBMPについては検討できなかった。特に予後調査に難航したがデータベースが完成したため今後はBMP7以外のBMPについても検討する予定である。
これまでに得られた結果をもとに論文作成を行う。BMP7については第113回日本外科学会学術総会でpSmad1/5/8については第30回日本呼吸器外科学会総会にて発表予定である。免疫染色:引き続きBMP7以外のBMPsについての免疫染色を行う。In vitro:すでに肺癌の様々な細胞株を購入しているため本年度より研究を開始する。肺癌細胞株にBMPsを加えることによる細胞の特性の変化を観察する。BMPsを加えたものとそうでないものとをproliferation assay, migration assay, invasion assayなどによって比較する。
論文の作成・投稿費、研究成果の学会発表時の旅費、実験助手への人件費の一部、実際の研究の物品費などに使用する予定である。具体的には免疫染色の抗体やin vitroの研究では各種assayやPCR、抗体等の消耗品が主になると思われる。
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胸部外科
巻: 65(11) ページ: 960-963