マウス気管の同種移植(isograft)と異種移植(allograft)のマウス気管移植を行い、2週間後に犠牲死させ組織を取りだし検討した。以下の群に分類した。マウスはC57BL/6とBALB/c。①通常の臓器保存液でドナー気管を保存。レシピエントへの人工酸素運搬体の投与なし。②人工酸素運搬体を含む臓器保存液でドナー気管を保存。レシピエントへの人工酸素運搬体の投与なし。③通常の臓器保存液でドナー気管を保存。レシピエントへの人工酸素運搬体の投与あり。④人工酸素運搬体を含む臓器保存液でドナー気管を保存。レシピエントへの人工酸素運搬体の投与あり。Real time PCRにてIFN-γ、IL-2、IL-10、IL-17の発現の検討を行った。異種移植と同種移植との比較ではIFN-γ、IL-2、IL-17の発現が異種移植の群で有意に高発現していた。IL-10の発現は有意差を認めなかった。組織学的には異種移植の群でT細胞の浸潤を同種移植の群に比べて強く認めた。人工酸素運搬体のドナー気管保存液への使用での検討では炎症性サイトカインの変化は非投与群と比して変化なかった。理由として考えられるのは虚血再環流障害が起きていないため、人工酸素運搬体の効果が見られない、等が考えられる。肺移植モデルでの検討は今回できていないが、血流再開による虚血再環流障害のモデルでの検討が必要であると考えられた。今後もさらなる研究が必要であると考えられる。
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