研究課題
アンチエイジング遺伝子klothoの発現と、癌細胞の浸潤・転移能の関係、抗癌剤に対する感受性の関係について検討を行った。(1)初年度の研究に継続して、ヒト癌細胞株を用いてklotho遺伝子を導入して、抗癌剤に対する感受性試験を行った。感受性の評価には癌細胞株のアポトーシス率を用いた。klotho過剰発現細胞は、klotho発現のない細胞に比べ、ドセタキセルによるアポトーシス率はそれぞれ41.2%、18.3% (p=0.01)であり、またパクリタキセルでは、35.9%、14.9% (p=0.03)であった。一方、シスプラチン、カルボプラチン、ペメトレキセド、ビノレルビン、エトポシド、ジェムザール、ゲフィチニブにおいては、それぞれアポトーシス率に有意差は認めなかった。すなわち、klotho遺伝子発現は、タキサン系抗癌剤感受性因子と関連を有し、がん治療における個別化治療に有用と期待される。(2)癌化における癌細胞の多段階的な浸潤過程に関する研究の一つとして、肺癌手術検体を用いて血管浸潤の有無による予後の関係を検討した。病理病期I期非小細胞肺癌において、血管浸潤陽性例は予後不良であるという結果であった。現行のTNM分類に血管浸潤の有無を組み込むことが、術後補助療法を含めた肺癌の治療戦略に重要であると考えられ、これを論文報告した(Lung Cancer. 2013;81(2):187-93)。
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Lung Cancer
巻: 81 ページ: 187-193
10.1016/j.lungcan.2013.04.016