研究課題
日本人肺癌の約40-50%には上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の活性型変異が認められ、変異を有する症例では高率にEGFRチロシンキナーゼを阻害する薬剤(EGFR-TKI)が有効であることがわかり臨床応用されているが、、TKI 治療にて初期には奏効したほとんどすべての症例が、後には抵抗性となることがわかっている。この耐性の獲得機序を解明するため耐性細胞株の樹立を試み、それらの細胞株を用いてEGFRやその下流経路の遺伝子異常の有無について解析を行うこととした。平成24年度から細胞株の樹立にとりかかった。名古屋大学呼吸器外科で治療(手術)された胸部悪性腫瘍の切除標本あるいは胸水を用いて従来の培養法あるいは新しく開発された細胞培養法であるCTOS 法を用いて微量な検体から細胞株を樹立する予定であったが、CTOS法は物品の整備が間に合わず従来の液体培地を用いた初代培養を開始した。約1年間で胸部悪性腫瘍20症例から切除標本を得ることができ、そのうち中皮腫と胸腺腫3症例で細胞株の樹立に成功した。また現在も継代しつづけている標本もある。しかし、当施設において予定していた2年間の間にEGFR-TKIに対する耐性を獲得した肺癌臨床症例の切除標本を得ることができず、予定していた耐性細胞株の樹立ができなかった。よって、初代培養に成功したのは中皮腫と胸腺腫のみであり、細胞株をもちいたEGFRに関係する遺伝子異常の有無の解析を行うことができなかった。しかしながら、肺癌以外の胸部悪性腫瘍(中皮腫、胸腺腫など)細胞株樹立は比較的稀であり、免疫染色やマウスでの移植片作成などを行い、樹立を確認した。
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