研究課題
申請者らは、MR spectroscopyから代謝産物の定量解析を行うサードパーティソフトウェアLC modelを用いた腫瘍内代謝評価を試み、19の代謝物を定量値として算出することが可能であった。このうちNAAGのスペクトルは2.015ppm付近で、NAAのピークに隠れるように存在していた。LC modelを用いた解析結果とIDH1/2シークエンス、免疫染色との結果を比較した。主要代謝物であるグルコース、グルタミン、グルタミン酸、GPCにおいてはIDH変異型神経膠腫と非変異型神経膠腫の両群の間に有意な差は認められなかった。今回の代謝解析の主眼となるNAAでは、両群に有意な差は認めなかった一方で、NAAGでは、非変異群で0.362,変異群では0.237と約35%低下していた。今回の少数での検討ではこれらの数値に有意差は認めなかったものの、この違いについては、IDH1R132H変異に伴う細胞内代謝環境の変化を如実に反映している可能性が示唆された。また、変異型IDH1染色およびKi-67染色の二重染色法を用いて神経膠腫における免疫組織学的解析を行った。脳神経外科にて治療した神経膠腫症例11例の腫瘍検体において、腫瘍中心部と浸潤領域を比較した結果、浸潤領域における変異型IDH1陽性細胞は、悪性度の高さと陽性率に相関関係が認められた。他方、浸潤領域における変異型IDH1陽性細胞はKi-67陽性を示すことは極めて稀であり、また、腫瘍中心部と比較して、浸潤領域において変異型IDH1陽性細胞は有意に低率であった。このことなどから、高悪性度の神経膠腫では浸潤能が高まる一方で浸潤細胞においては逆に増殖能は低いという示唆がえられ、神経膠腫組織内における変異型IDH1陽性細胞の免疫組織学的特徴について有意義な初めての知見が得られた。
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