研究課題/領域番号 |
24791496
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
荒木 芳生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80467290)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | もやもや病特異的タンパク / バイオマーカー |
研究概要 |
研究実施計画により当該年度はもやもや病およびその類縁疾患の脳脊髄液中において高発現しているタンパクの定量的評価システムの確立した。まず採取したcrudeな脳脊髄液からtargetとする4000Da程度のペプチドを効率的に精製するため液体クロマトグラフィー用ポリマービーズおよびIontrap MSを用いたシステムを用いて、わずかな脳脊髄液から微量に含まれるtargetペプチドを精製する手技を安定化させた。 続いて同タンパクの定量的評価のためELISAシステムの構築を行った。targetペプチドに特異的な抗体を作成した(圓若、吉川)。つづいてELISAを施行したところ、crudeな脳脊髄液中にわずかに発現しているtargetペプチドを陽性のバンドとして捕捉することができた。このデータについては現在報告を作成中である。 さらに 得られた定量的データを臨床応用することを目標に統計学的解析を施行した。もやもや病およびその類縁疾患の臨床診断において使用可能にするためには疾患群、コントロール群においてそれぞれ統計学的に保証されるサンプル数が必要となる。現在保存している脳関髄液はもやもや病成人および小児例合計50例に到達している。さらに年齢をマッチさせた血管障害以外の症例の脳脊髄液についても現在、検体を蓄積中である。 平成25年度は研究実施計画に基づき、脳脊髄液以外の検体である、中大脳動脈、硬膜、浅側頭動脈を用いてDNAマイクロアレイを施行することを目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度研究実施計画に基づいて自己評価する。1. もやもや病およびその類縁疾患の脳脊髄液中において高発現しているタンパクの定量的評価システムの確立。1)もやもや病およびその類縁疾患脳脊髄液より目的とするタンパクの分離・精製を効率的に行うシステムを構成する。→おおむね達成できている(9/10)。2. 同タンパクの定量的評価のためのELISAシステムの構築を行う。→特異的抗体の作成に予想以上の時間を要したため、ELISAが実施できたが、まだ再現性を確実に得ているとはいえない状態である。引き続いて再現性確認のための実験が必要である(5/10)。 3. 得られた定量的データを臨床応用するための統計学的処理法の検討を行う。→Image J, JMP softwareを用いて統計処理を行っている。方法としては確立している(9/10)。
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今後の研究の推進方策 |
引き続いてtargetとするもやもや病特異的タンパク(ペプチド)に関して特異的抗体を用いたELISAによる定量的評価システム構築を実施する。同時に研究実施計画に基づき、まだ解明できていない脳脊髄液以外(中大脳動脈・硬膜・浅側頭動脈)の組織での遺伝子レベルでの発現解析を行うことにより新たな診断方法や動物モデル構築による治療方法を展開する。検体採取を継続するとともにRNA抽出(現有機器)、cDNA作成、DNAマイクロアレイへのアプライまでのmethodologyを構築する(中大脳動脈・浅側頭動脈検体)。また硬膜検体に関してはパラフィン切片としレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(現有機器)の手法により硬膜上の中硬膜動脈など血管組織を切り出し同部位から抽出したRNAを用いたマイクロアレイを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費としてRNA抽出や保存キット、cDNA作成のための試薬、機器使用代を計上する予定である。平成24年度に得られた結果を発表するための旅費および論文化のための英文添削や投稿費などに使用する予定である。
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