研究課題/領域番号 |
24791499
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木嶋 教行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (80534627)
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キーワード | グリオーマ幹細胞 / 幹細胞niche / ALCAM |
研究概要 |
現在我々は悪性神経膠腫におけるALCAMの悪性神経膠腫血管新生における機能的役割の探索を行うために実験を継続している。具体的には悪性神経膠腫細胞株U87MG及びU251およびprimaryのヒトグリオーマ細胞を用いALCAM knock down細胞株を作成し、これらの培養上清を用いin vitroでHuvecを用いたtube formation assayを行い、血管新生の相違についての検討を行った。さらに免疫不全new-bornマウスへの投与を行い、in vivoでの腫瘍内血管の相違について検討を行った。これらの検討を行うとALCAM knock down株から採取した培養上清はcontrol細胞から採取した培養上清と比してHuvecのtube formationを抑制し、一方ALCAM knock down株及びcontrol株を免疫不全マウスへ投与すると、形成された腫瘍内のmicrovascular densityでは有意な差は認めなかったが、切片当たりの血管面積及び1血管当たりの血管径はALCAM knock down株で著明に抑制されていた。またcontrol細胞とknock down細胞におけるVEGFの発現をwestern blotting、培養上清でのcytokine arrayで検討すると、VEGFの発現には明らかな差は認めなかったが、血管新生に関わるcytokineであるinterleukin8の分泌に差が認められた。これらのことからALCAMは悪性神経膠腫血管新生に関わる分子であると同時に、その作用はInterleukin8の分泌の制御を介している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度より大阪大学医学部特任研究員として勤務する一方でトロント大学postdoctral fellowとして赴任することとなり、本研究と並行して、トロントでもプロジェクトを行うこととなった。そのため本研究にかける研究時間が当初の計画より減少することとなり、実験としては当初の予定よりやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果よりALCAMおよびsALCAMは脳腫瘍の血管新生に関与しており、なおかつそれがInterleukin-8の分泌を介している可能性が示唆された。よって本年度はこれらの雲氏が治療標的分子になるかについての検討を行う一方、ALCAM,sALCAM,Interleukin-8が悪性神経膠腫幹細胞nischeにおいての役割について検討を行う予定である。 具体的には ①ALCAM, sALCAMのblocking antibodyを投与した際腫瘍血管新生抑制効果が認められるかについての検討を行う。 ②抑制効果が認められれば、さらにその抑制効果がinterleukin-8を介した現象であるかどうかについて、in vitro, in vivoでの検討も行う。 ③悪性神経膠腫幹細胞nischeにおけるALCAM、sALCAM、interleukin-8の機能的役割についての検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行している途中、大阪大学医学部脳神経外科特任研究員としてトロント大学にて留学を開始することとなり、本研究とトロントでの研究を並行して行うこととなった。そのため当初の予定より本研究に携わる時間が減少し、かつ試薬などの購入額が当初の予定より減少したため、次年度使用額が生じました。 本研究は当初の予定よりやや遅れが見られるものの、プロジェクトの内容としては変更はありません。次年度へ持ち越した費用については当初の計画通り、血管新生に関わる分子の試薬や抗体、分子生物学実験に関わる試薬の購入、免疫不全マウスの購入、さらには本研究成果を世界に発信するための必要旅費に使用させていただく予定である。
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