研究課題/領域番号 |
24791500
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷 直樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (20598370)
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キーワード | Functional connectivity / Resting state network / Default mode network / Temporal lobe epilepsy / Parkinson's disease |
研究概要 |
本研究は神経難病の根底に存在すると考えられる脳内ネットワークの異常を解析し、神経難病の病態を理解することを目的としたものである。今までに内側側頭葉てんかん、正常圧水頭症、パーキンソン病においてresting state functional MRI(rsfMRI)を主として解析を進めてきた。 パーキンソン病患者においては脳深部刺激術術前の患者3人でrsfMRIを撮影し、脳深部刺激術のために留置された電極からlocal field potentialを測定することができた。今後は術前のrsfMRIと脳深部刺激術術後症状の相関を解析するとともに、local field potentialと頭皮脳波より全脳のfunctional connectivityを解析する予定である。 てんかん手術術前の難治性側頭葉てんかん患者においてMRIを撮影し機能的結合の変化を解析、健常者との比較を行った。側頭葉てんかん患者においてはdefault mode networkの前半部と後半部との機能結合が、言語機能の低下が見られた群において低下していた。側頭葉てんかんにおける機能的結合の変化は既に報告があるが、言語機能の低下との相関に関しては過去に報告がない。今後側頭葉てんかん患者での高次脳機能障害の原因究明に寄与できる可能性がある。 正常圧水頭症患者(NPH)では術前術後にrsfMRIを測定し機能的結合の変化を解析した。resting motor networkの中でもdefault mode network, motor networkにおいて術後の機能改善と連動していると考えられる変化が見られた。NPHにおけるこのような結果は過去に報告がなくNPHのメカニズムを考察する上において大変重要な情報と思われる。詳細は学術会議で報告し、現在学術論文として報告すべく準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
resting state functional MRIを用いた解析は予定取り進行しているが、大阪大学で導入されており当研究でも使用しているMEG機器の更新によって、MEGの解析手法を変更せざるを得なくなり、現在MEGの計測・解析に大幅な遅れが生じている。これに伴いMEG維持費、被験者謝金の支払いも遅延しているため、補助事業期間を延長申請している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、パーキンソン病患者のresting state functional fMRIと脳深部刺激術術後症状の相関を解析するとともに、local field potentialと頭皮脳波より脳波を利用したパーキンソン病患者におけるfunctional connectivityを解析する予定である。さらに、MEGの計測・解析を今年度に継続することで、より学術的に有意義な結果を得た上で、論文作成・学会発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
大阪大学で導入されており当研究でも使用しているMEG機器の更新によって、解析手法を変更せざるを得なくなり、現在MEGの計測・解析に大幅な遅れが生じている。これに伴いMEG維持費、被験者謝金の支払いも遅延しているため、未使用額が発生した。 被験者謝金等必要な経費の支払いと解析により得られた結果の論文作成、学会発表に使用する予定である。MEGの計測・解析を今年度に継続することで、より学術的に有意義な結果を得た上で、論文作成と学会での発表を今年度に行うこととし、未使用額はそれらの経費に充てる予定である。
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