PEA15の発現と悪性グリオーマ細胞との関連性を検討する為の問題点として、(1)細胞分画における発現量の解析と(2)リン酸化の有無の解析を考えた。解決手段として、(1)については、細胞分画に分けて各分画におけるタンパク発現量を、Western-blotting法によって確認することとし、まずは通常のWestern-blotting法を再確認し、条件を調整した。また、細胞分画に分ける方法についても、ProteoExtract Kitというキットを用いて、培養の細胞分画を『核』『細胞質』『細胞膜』に分け、各分画内のタンパク発現を確認すべく、キットを購入して条件を調整した。(2)については、Phos-tagを用いることを検討中である。 更に、PEA15の発現と悪性グリオーマ患者の予後を考慮するため、化学療法と共に放射線感受性への影響も検討している。悪性グリオーマ培養細胞の放射線照射条件についても明らかにして、細胞周期の中での細胞核の変化に関して、一定の関連性を見出した。悪性グリオーマ培養細胞において、p16遺伝子発現によるG1/S期の細胞周期停止によって、放射線照射後に多核化を伴い、中心体が過剰複製して、非アポトーシス細胞死が引き起こされ、さらにSurvivinの発現を抑制すれば、G2/M期に影響を及ぼして、細胞分裂を直接的に障害するために、著明な染色体不安定性をきたすことを発見し、脳神経外科学会、脳腫瘍学会にて発表した。現在引き続き、PEA15との関連について検討している。
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