研究概要 |
申請者は以下に示す実験成果を報告した。 E.coliとSpirulinaは共にグラム陰性菌に分類され、外膜の熱フェノール抽出物である脂質を含む複合多糖類、LPSとCPSは類似の構造を有すると予想されている。作用機序を比較するため、wild typeのTLR4を持つC3H/HeNマウスとTLR4に変異がありLPSに対し低反応のC3H/HeJマウスを用いた。マウスグリオーマRSV-Mをそれぞれに皮下移植し、Spirulina CPS, E. coli LPS を投与する群に分け比較すると、C3H/HeNではいずれの群でも有意に腫瘍増殖が抑制されたが、C3H/HeJではいずれの群でも腫瘍抑制効果を認めなかった。Spirulina CPSはTLR4を介し抗腫瘍効果を発揮することを確かめた。 抗腫瘍効果を担う細胞を同定する目的で、自然免疫系の免疫担当細胞のマーカーであるasialo GM1に対する抗体をSpirulina CPSとともに投与すると対照群に比べ早期に腫瘍増殖が認められた。Spirulina CPS投与群では獲得免疫の形成を認めたため、CD4,CD8に対する抗体とともに投与すると腫瘍増殖を認めた。Spirulina CPSの抗腫瘍効果にはTリンパ球も関与していることが示された。 Spirulina CPS投与群では血清中のIL-17は低下を示した。RSV-Mを移植したマウスにIL-17に対する抗体を投与したところ、C3H/HeN,C3H/HeJともに腫瘍抑制効果を認めた。IL-17は血管新生を促進することで腫瘍増殖に関与するとされており、CD31に対する免疫染色を行い血管新生を評価したところ、Spirulina CPS投与群では有意に血管新生が抑制されていた。Supirulina CPSの抗腫瘍効果にはIL-17の産生抑制による血管新生の抑制が関与が示唆された。
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