研究概要 |
1)ウサギSAHモデルより脳底動脈を摘出し、マイクロアレイによるSAH発症後の経時的な遺伝子発現解析を行った。未発症モデルと比較し、SAH発症後3日目には全43,623 probe中 868 probeが, 5, 7日目にはそれぞれ603, 464 probeが有意に発現変動していることが明らかとなった。また、全43,623 probe中、1,121 probeがいずれかのtime pointで有意な発現変動を呈していた。これらの遺伝子の発現パターンを解析すると、発症3日目に著しく変動し、時間経過とともに収束していくということが明らかになった。以上の結果から、SAH血後、脳血管に発現する全遺伝子の約3%程度の遺伝子の発現が有意に変動し、これらの遺伝子がSAH発症後の脳血管反応性の亢進に寄与している可能性が示唆された。 2)超高解像度256列MDCTを用いて、ウサギSAHモデルの脳底動脈血管径の経時的推移を評価した。本実験では耳介静脈より造影剤を注入しCT angiographyを行った。標準モードでは描出不良であったが、超高解像度モードにおいてウサギ脳底動脈は周囲の構造物より分離でき、全長にわたっての描出が可能であった。また、脳血管攣縮期においても、脳底動脈は描出可能であった。顕微鏡下の観察において、我々のモデルではSAH発症後5日目を極期とする脳血管攣縮を確認している。超高解像度モードで撮影した画像を用いてSAH発症後の脳底動脈の断面積を経時的に計測したところ、同様の推移を捉えることができた。以上の結果から、超高解像度256列MDCTによるウサギ脳血管径の評価は、同一個体を経時的評価でき、かつ簡便であることからウサギSAHモデルの血管径評価の有用な評価方法の一つと考えられた。
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