組織学的に良性の髄膜腫にも早期再発や悪性転化をきたす症例が少なからず経験されることから、組織所見とは独立した観点から髄膜腫を再分類し、悪性性格をもつサブグループを同定した。髄膜腫には一部の遺伝子群にDNAメチル化の集積を示す患者群が存在し、複数遺伝子のメチル化レベルが、腫瘍再発の予測マーカーとなりうることが示された。一方これらの遺伝子がもつ機能を検討したが再現性のある結果は得られず、髄膜腫が悪性性格をもつにいたるにはより複雑な要素が関連するものと考えられた。将来にわたる基礎研究のため研究開始とともに設立した脳腫瘍バンクでは髄膜腫を中心に250例を超える頭蓋内腫瘍検体を収集するに至っている。
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