研究課題/領域番号 |
24791516
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
竹島 靖浩 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60510203)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 脳虚血 / 静脈虚血 / 光凝固法 |
研究概要 |
脳静脈虚血は、比較的軽度かつ長時間持続する虚血を特徴とし虚血巣や周辺組織にはその際に様々な修飾が加えられている可能性がある。本研究では脳静脈虚血における局所の神経幹細胞の発現を調べ、神経幹細胞をこの脳静脈虚血分野への応用・展開するための研究基盤を確立する事を目的とした。具体的には脳静脈虚血における神経幹細胞の発現動態を検討するため、以下の実験を施行した。Wister rat(250g前後:オス)を脳静脈虚血群・コントロール群の2群に分けた。包水クロラール腹腔内投与で麻酔し、静脈ライン・動脈ラインを確保した。腹臥位にてStereotactic frameに頭部を固定し、左頭頂部を開頭(8x16mm)した。Rose Bengal dyeの静脈内投与とfiberoptic illuminationを用いて光凝固法で2本の隣接する脳表静脈を閉塞させた。コントロール群では開頭のみ行った。静脈閉塞の1・3・7・14日後に、ラットを10%formaldehydeにて還流固定し大脳を摘出し、局所を冠状断としてパラフィン固定した。5μmの厚さで切片を作成しヘマトキシリン・エオジン染色ならびに、神経幹細胞マーカーであるAnti-Nestin抗体の免疫染色を行った。脳静脈梗塞巣の範囲は3日目の標本において最大となり7日目・14日目の標本では減少した。抗Nestin抗体の免疫染色では、脳静脈虚血群において虚血巣周辺に発現を認めた。本研究において、脳静脈虚血における内在性神経幹細胞の発現の可能性が指摘された。今後の研究によってこれらの空間的・時間的変化が明らかになれば、病態解明のみならず内在性神経幹細胞の修飾が新たな治療法となりえる可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデルラット作成は過去の手技を踏襲しほぼ予定通りの実施であるが、このたび予定した神経幹細胞の免疫染色については過去に経験がなく初めての試みであったので、種々の免疫染色学的評価に関して安定した手技の確立に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き安定した免疫染色手技の確立を目指す。安定して種々の免疫染色学的評価が施行できれば、繰越した研究費も使用して研究を推進する予定である。 本年度は、神経幹細胞増殖因子としてprolactinを投与することでこれらの発現動態に及ぼす影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、免疫染色を施行・推進するために、一次抗体・二次抗体・発色色素などの物品費、染色のための人件費に充てる予定である。
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