研究課題/領域番号 |
24791519
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
北村 洋平 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30445382)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | chordoma / brachyury / CGH / FISH |
研究概要 |
これまでに我々は当施設において手術を施行した頭蓋底脊索腫37例について、comparative genomic hybridization (CGH) 法による染色体異常の解析を施行した。その結果と予後 (progression free survival; PFS)とをlog-rank検定を使った単変量解析で検討したところ、1pのlossと、1q, 2pのgainを有する脊索腫の患者のPFSが有為に短いことが明らかとなった。また近年、T遺伝子(brachyury) が脊索腫の形成や進行において重要な役割を果たしているとする報告が複数存在するため、brachyury蛋白の免疫染色とT遺伝子のfluorescence in situ hybridization(FISH)を追加で施行したが、これらの異常を有する脊索腫の患者のPFSは有為に短いということも明らかとなった。さらに手術における摘出度、放射線治療の有無、MIB-1 index等を含めたCox hazard modelを用いた多変量解析を行ったところ、2pのgainやbrachyuryの発現は単独でPFSと関連するとの結果を得ることができた。これらの結果から2pのgainやbrachyuryの異常がある症例ではよりいっそう注意深いフォローアップが必要であると考えられた。これらの知見は脊索腫の治療において重要な情報となりうると考えられ、現在これらの結果の確かさを再度検証するとともに文献発表に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験自体はすでに当研究室において確立されたものであり、標本となる腫瘍検体も実験室にすでに確保されているため、実験の妨げとなる問題もとくになく、予定通りの行程で進んでおり、期間内に終了し、文献を投稿するところまで見込める状態である。
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今後の研究の推進方策 |
すでに結果の大部分をすでに得られているが、引き続き、結果の正当性の検証のための追加の実験を継続して行う予定である。主にFISHの結果については、結果が一定しないこともあり、何度か実験を繰り返し、結果の妥当性を再評価する必要がある。また、同時並行で統計ソフトを利用したデータの統計学的解析と英語論文の執筆を行う。作成した論文はできるだけ早い段階で、より世界的に評価の高い雑誌への投稿を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
未使用額の発生は、効率的な物品調達の結果であり、追加で必要となった翌年度のガラス製品やプラスチック製品などの消耗品の購入に充てる予定である。 その他、試薬や実験器具などの購入を予定通り行う予定である。
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