研究課題/領域番号 |
24791521
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
尾原 知行 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20616388)
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キーワード | 脳静脈血栓症 / 多血症 / 貧血 |
研究概要 |
本年度は2007年~2013年に国内3施設で入院治療を行った急性期脳静脈血栓症26症例(男性13例女性13例、年齢中央値53.5歳[22-86歳])を後ろ向きに調査した。初診時臨床症状は、頭痛65%、局所神経症状69%、けいれん42%であった。閉塞静脈洞は上矢状静脈洞68%、横静脈洞46%、直静脈洞30%で、静脈血栓症に起因する脳実質病変として、脳出血を44%、静脈性梗塞を33%に認めた。一方で脳実質病変を認めない症例を19%に認めた。脳静脈血栓症の原因疾患としては凝固異常症(23%)[先天性16%、抗リン脂質抗体症候群7%]が最も多かった。その他の原因疾患、患者背景を性別で検討すると、男性では多血症38%(ヘマトクリット値50%以上)、多量飲酒31%、高ホモシステイン血症15%、女性では貧血23%、女性ホルモン療法23%が多かった。本邦における脳静脈血栓症の実態は、これまでほとんど明らかにされてこなかった。まだ現時点では多数例とはいえないが、本年度の検討を行った26症例では、欧米の約600例の脳静脈血栓症のデータ(女性75%、年齢中央値37歳)と比較すると、比較的高齢で男性の比率が多かった。また原因となる患者背景としてこれまで欧米の研究ではあまり注目されてこなかった赤血球数の異常(男性では多血症、女性では貧血)が多いことが明らかになった。今後さらに症例数を蓄積し、本邦における脳静脈血栓症の実態を明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
脳静脈血栓症の多施設後ろ向き研究の倫理委員会への申請準備が遅れ、症例登録がすすまなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は多数の施設に調査協力を依頼し、脳静脈血栓症における後ろ向き研究の症例登録の増加を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は後ろ向き研究の症例登録が遅れたため、予定していた支出額に満たなかった。 次年度は後ろ向き研究における各書類の郵送費用、データベース作成管理、研究協力に対する謝礼に相当額を要する。また研究成果の公表のための旅費、論文作成費用などを必要とする。
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