本邦における脳静脈血栓症の臨床的、画像的特徴を33症例のデータを基に解析した。欧米のデータと比較すると、脳静脈血栓症の背景疾患として血栓性素因の他に多血症や貧血などの血液学的異常を有する症例が多かった。診断に関しては1/3の症例が診断遅延症例であり、早期診断のためにT2*強調画像の活用が重要と考えられた。急性期治療としてほぼ全例抗凝固療法が行われたが、特に頭蓋内出血合併例において症状増悪が多く、症状増悪が転帰不良に関連していた。早期の血管内治療の介入などより効果的な急性期治療戦略を確立していく必要がある。明らかとなった脳静脈血栓症の診療上の課題は現在継続中の登録研究でさらに検討したい。
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