研究実績の概要 |
内因性物質の微小粒子は種々の細胞に作用し、リウマチ性疾患や感染、血栓症の病態形成に深く関与するとされる。最終年度は、リウマチ性疾患の病態形成に深く関与する形質細胞様樹状細胞 (pDC)に対し、ヒト唾液腺細胞株から分離した微小粒子がどのように作用するか検討した。ヒト唾液腺細胞株にアポトーシスを誘導し、アポトーシス小体 (AB)と微小粒子 を遠心分離法により抽出した。遠心法は、1) 750 rpm、10分間、2) 1,500 rpm、10分、3) 3,000 rpm、10分、4) 11,500 rpm、20分、5) 242,000 rpm、10分の順に行った。1)と2)により、死細胞と大きな細胞片が除去され、3)の遠心後の沈査内は、AB-rich (P1)となった。4)により沈査内はABと微小粒子 (P2)となり、5)により沈査内は微小粒子-rich (P 3)となった。抽出したP1-3をpDCと反応させ、Toll-like receptor (TLR)発現をqRT-PCR、ELISA法により測定した。TLR7の発現は、P1添加によりコントロール群の2.1倍、P3添加で2.5倍に増加した。P2では、増加しなかった。TLR9は、P1添加によりコントロール群の4.2倍、P2添加で11.6倍、P3添加で3.9倍に増加した。 昨年度までに、生物学的製剤(抗TNF製剤,抗IL-6受容体製剤)使用と非使用群の関節リウマチ滑膜組織におけるTLR陽性細胞の局在とその発現様式を明らかにした。pDCsを刺激し、TLR 7、TLR 9の発現を増加さた微小粒子によっておこる自然免疫反応が、生物学的製剤治療後も関節リウマチ滑膜組織における慢性炎症の残存に関与している可能性を示した。
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