研究課題
まずシュワン細胞と椎間板髄核細胞の共培養の条件を検討した。各種細胞外マトリックス(ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、ポリDリシン)によるコーティング上でシュワン細胞の接着能がEpoにより増強されるかを吸光度計で定量した。結果、いずれもシュワン細胞の接着は認めたが、Epoにより接着細胞が増加したのはフィブロネクチンのみであった。次に技術的な指導を千葉大学の山内かづ代特任助教より受け、椎間板細胞の単離培養を行った。椎間板細胞を3D培養を行うことは可能であったが、同培養液を用いたシュワン細胞培養ではEpoによるCaspace3の発現には差を認めず、現在、至適な条件を探るべくプロトコールを作成中である。また行動学的評価として、発痛源が左右に偏在する場合に、CatWalkで定量可能かを、HCLでpHを調節した生理食塩水を片側傍脊柱筋に局所注射するモデルで検討した。結果、患側後肢最大接地圧、患側後肢歩幅、健側後肢最大接地面積はpHとの相関が認められ、これらを用いることで偏在する腰痛を定量できる可能性が示唆された(2013欧州整形外科学会議:EFFORTにて公表)。次に椎間板尾椎穿刺モデルを作成し、Epoレセプターの発現を評価した。穿刺により、椎間板局所、後根神経節、脊髄後角において、リン酸化Epo受容体(pEpoR)の発現を免疫組織化学染色で検討した。結果、椎間板および後根神経節においてpEpoRの発現が有意に増加していた。後根神経節におけるpEpoRの発現はマイクログリアにおいて増強していたが、脊髄後角においては差異は認めなかった。またin vitroでの結果を踏まえ、坐骨神経結紮モデルにおいて、Epoの刺激によりフィブロネクチンの結紮部神経線維におけるmRNA発現、タンパク定量、免疫染色におけるシュワン細胞での発現増強を認めた(2013日本脊椎脊髄病学会にて報告)。
3: やや遅れている
先行研究では、椎間板細胞培養を行ない、同培養液を用いて神経細胞の培養を行なっていた。本研究では椎間板培養液を用いたシュワン細胞培養を試みているが、現在のところ、Caspace3の発現に予測された差異を認めなかった。従って、今後、培養液の内容の調節や、椎間板培養液採取のタイミングの検討を行い、本研究を進める予定である。in vivoの研究に関しては、平成25年度の内容を予定よりも早く開始出来ており、本年度はin vivo、in vitro双方の研究の目標の達成を目指している。
今後、細胞密度など、椎間板培養のプロトコールを調整することでEpoの効果を検討する予定である。各々の細胞の単培養法は確立出来ている為、今後、各種条件の検討により可及的早期に本研究の遂行が可能である見込みである。in vivoの研究に関しては、平成25年度の内容を予定よりも早く開始出来ており、本年度はin vivo、in vitro双方の研究の目標の達成を目指す。
細胞培養に必要な消耗品(細胞培養液や試薬など)、各種タンパク定量に必要な費用、動物手術に際しての機械購入資金に使用する予定である。また、国際腰椎学会、米国神経科学学会などの国際学会、日本整形外科学会や日本脊椎脊髄病学会などの国内の学会への参加を予定しており、本研究費を必要経費に充てる予定である。
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Spine (Phila Pa 1976).
巻: May 3. [Epub ahead of print] ページ: 未
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巻: 37 ページ: 1810-1818