研究課題/領域番号 |
24791525
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
二村 昭元 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40622098)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 解剖 / 腱板断裂 / 上腕骨外側上顆炎 |
研究概要 |
1)腱板付着部の解析 腱板付着部の筋腱付着構造を理解するために、同部分の血流分布という観点から研究を行った。まず肩関節や上腕骨頭周囲に分布する前・後上腕回旋動脈の走行に関する肉眼的観察を行い従来考えられていたような両動脈が吻合すして分布すると言うよりは前上腕回旋動脈は主には肩甲下筋付着部、結節間溝そして肩関節前方に分布し、後上腕回旋動脈はそれとは三角筋下包を介した三角筋膜下を走行し各々の動脈が独立した機能を果たしていることを明らかにした。また逆に腱板付着部の乏血領域に焦点当てた解析を、血管をX線非透過性色素で可視化しマイクロCTを撮像することにより行った。肩甲上動脈により栄養される棘上筋・棘下筋の停止部に乏血領域が存在することを明らかにした。この事実は同部が腱板断裂病因に関わるという過去の報告を裏付けるものである。 2)短橈側手根伸筋起始部(テニス肘) 他の前腕伸筋群と比較した短橈側手根伸筋起始部の解剖学的特徴を肉眼的観察を行い解析した。筋性に幅広く起始する腕橈骨筋・長橈側手根伸筋や筋成分・腱成分が混ざり合って起始部を形成する総指伸筋・尺側手根伸筋と異なり短橈側手根伸筋はそれらの最遠位・深層より筋成分をほとんど含まない長く強固な腱成分として起始していることを明らかとした。この事実は上腕骨外側上顆炎(テニス肘)の病態が前腕伸筋群の中でも短橈側手根伸筋に特異的に血管新生を伴った線維化であるという事実を解明する糸口になり得ると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定していた腱板付着部の解析に関して血管分布とその乏血領域という観点から成果を上げている。 また平成25年度以降に行う予定になっている短橈側手根伸筋付着部の解析に関する基盤として肉眼的解剖を行い成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)腱板付着部の解析 上腕骨大結節のパターン解析、ならびに同部にマーカー設置したサンプルにマイクロCTを用いて前年度に明らかにした乏血領域の広がりを元に腱板停止部の付着パターンと骨形態との関係性を明らかにする 2)短橈側手根伸筋起始部(テニス肘) 前年度に確立した解剖学的基盤を元に同部の組織学的検討により、さらに深層構造である関節包・回外筋との関係性を明らかにする。つぎにマイクロCTを用いて短橈側手根伸筋の起始様式と上腕骨外側上顆骨形態との関係性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
解剖対象保存のため、カメラ等の撮影機材、免疫染色を行うために抗体、解剖用消耗品のために700,000円、 国内外学会発表経費として300,000円、 論文の英文校閲料、投稿費として200,000円、 計1,200,000円を計上する
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