研究課題/領域番号 |
24791529
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
渡邊 孝治 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (90584839)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自己脂肪由来幹細胞 / 体性幹細胞 / 骨再生 / 骨延長 / 骨成熟促進 |
研究概要 |
平成24年度の研究計画は、動物モデルの確立と自己由来脂肪からの幹細胞の採取技術の確立、採取した細胞の分化能を証明することである。 脂肪採取し細断後、0.12%コラゲナーゼ内での振盪を当初の45分間から40分間に変更することで、培養細胞の増加効果を得た。これにより細胞採取技術は安定、確立した。得られた脂肪幹細胞を骨分化誘導培養液で培養し、Alkaline phosphatase染色を行うことで、脂肪幹細胞が骨芽細胞に分化したことを確認した。 ラット大腿骨は小さいため、創外固定器のハーフピンの刺入が難しく、固定性が得られにくいという問題点があっが,指節骨用創外固定器と1.6mmセルフドリリングピンを使用することで固定性は著しく改善し、手術手技は確立し技術的にプラトーに達した。 作成したstromal-vascular fractionを0.1mlのコラーゲンゲルに混入し、レントゲンイメージ下で延長仮骨内に経皮的に注射投与した。試験的に造影剤を使用することで、延長仮骨内に投与可能であることを確認した。細胞移植後2,3,4,6週でレントゲンを撮影し、Scion Image Betaを用いて延長仮骨部の骨塩量を測定した。移植後4,6週で脂肪幹細胞移植群の骨塩量が優位に高値であった。細胞移植後4週においてHE染色標本を作成した。細胞非投与群では延長仮は成熟しておらず、線維芽細胞様細胞が多数残存していたが、細胞投与群では骨性架橋が完成し、線維芽細胞様細胞は消失し成熟した骨梁が形成されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定した実験は既に終了し、平成25年度に予定した幹細胞投与モデルの確立、各モデルの評価へと実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
延長仮骨部に幹細胞を投与し骨成熟促進の他のモデルとの評価,蛍光タンパクと免疫染色を使用した成熟促進のメカニズムの解析,投与時期を変えたモデルの比較を行い,当初の実験計画の全ての遂行を目指す. コントロール群では延長終了後何も処置を行わない。コラーゲンゲル投与群ではレントゲンイメージ透視下に注射針で骨延長部にコラーゲンゲル1mlを注入する。脂肪由来幹細胞投与モデル群では,同様の方法で,脂肪組織から得られた脂肪幹細胞約5×105個ををコラーゲンゲル1mlに混入し、骨延長部に移植する。これら3群の比較で,脂肪由来幹細胞の骨延長部投与での骨成熟促進を証明することができる。また緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)導入ラットより採取したstromal-vascular fractionを免疫抑制ラットの骨延長部に移植し、移植細胞の分化の観察を行う. 延長終了後から1週毎にレントゲンを撮影し評価を行なう。仮骨が成熟し始める時期や形成の速度,及びその形態を観察する。延長終了後8週までfollow-upし屠殺する。その他に各群1匹ずつで延長終了後2週,4週,6週での病理を評価する。また摘出標本を用い,pQCTにてBone mineral density,mineralized callus areaの測定,力学強度試験を行う。レントゲン上の仮骨の濃度,pQCT,力学強度試験の結果を評価する。 次の研究として最も効果的に延長仮骨を成熟させる脂肪幹細胞の投与時期を調査する。骨延長には延長前の待機期間,延長期間,延長後の骨成熟期間の3つの期間がありこれらのうちどの時期に投与することが最も骨成熟を促進するのかを明らかにする。上記の研究では延長終了後の骨成熟期間に脂肪幹細胞を骨延長部に投与したが,この実験では同じ条件で投与時期をかえた場合の検討を行う。計30匹(15匹×2群)。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額 765685円 本年度購入予定であった画像解析用コンピューターと解析ソフトを次年度に購入を予定している(約300000円). また,脂肪由来幹細胞の移植後の役割を判断するための各種試薬,外注での解析は次年度に予定している(約460000円) 次年度の研究費は予定通り使用する.
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