研究課題/領域番号 |
24791544
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
李 相亮 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40533732)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | miRNA / マイクロアレイ / PCR / 難治性骨折 / 偽関節 / 骨折治癒 |
研究概要 |
ラット(Sprague-Dawley;12週齢)を用い、大腿骨骨折モデル・難治性骨折モデルを作成し、作成14日後にそれぞれの群で骨折部からRNAを採取し、miRNAマイクロアレイ解析を行った。結果、難治性骨折モデルにおいて大腿骨骨折モデルに比べ二倍以上の発現を示したもの、1/2以下の発現を示したものがリストアップされた。我々は、難治性骨折モデルで特に発現量の差が顕著であった5つのmiRNAを選択し、real-time PCRを用い、経時的変化を検討を行った。 骨折作成後14日目のマイクロアレイではmiR-31-3p、miR-31-5p、miR-146a、miR-146b-5p、miR-223の発現が難治性骨折モデル群で有意に増加していた。また、骨折後14日目のreal-time PCRでもマイクロアレイと同様に、これらのmiRNAが有意に難治性骨折モデル群で増加していた。また、骨折後3日目ではmiR-223が、骨折後28日目ではmiR-31-5pが、難治性骨折モデル群で著明に増加していた。 今回、偽関節群で著明に発現の増加が見られた5つのmiRNAのうちmiR-31-5p、miR-146a、miR-146b-5p、miR-223の4つは炎症時に増加し、炎症を制御することが報告されている。炎症は骨折治癒において極めて重要な因子であると報告されており、その阻害は偽関節形成にも関与していることが示唆されている。これら炎症を制御するmiRNAも偽関節形成に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。これらのmiRNAは難治性骨折・偽関節の予防および治療における、miRNA創薬のターゲットとなることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PCRにおいて、internal controlの選定に難渋した。購入したprimerが不安定であったという要素も加わり、選定に時間がかかった。現在、骨折群で有意に上昇したmiRNAを5つ選定し、その経時的変化を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きreal-time PCRの解析を進め、骨折治癒および偽関節に関わるmiRNAの同定を行っていく。そこで判明したmiRNAを用い、実験動物において、それらmiRNAが実際に骨折治癒促進・偽関節形成阻害につながるかを検討していく。 本研究を推し進めていくことにより、通常の骨折治癒過程、そして偽関節形成過程において重要な役割を果たすmiRNAが明らかになっていくと予測される。そこで同定された「骨折治癒の鍵」となる重要なmiRNAを利用し、骨折部におけるmiRNAの機能抑制もしくは補充療法を行えば、骨折治癒が促進されたり、偽関節形成を予防する手段・治療法の確立が得られる可能性が広がる。骨折治癒過程および偽関節形成におけるmiRNAの機能・役割の知見が大きく広がり、ひいては骨折におけるmiRNA医薬の臨床応用への到達が加速することが強く期待され、難治性骨折・偽関節で苦しむ患者に対し大きな福音をもたらし、医療の向上ならびに社会的貢献も大きいといえる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は real-time PCR の解析や研究成果の発表などに使用する。 なお,次年度使用額294円は当該年度の使用額と合わせて使用する。
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