骨折治癒において重要な役割を果たすmiRNAおよび骨癒合の進行を阻害させるmiRNAを明らかとするため、ラット大腿骨骨折・難治性骨折モデルにおける骨折後14日目の骨折部でのmiRNAの発現をマイクロアレイにて解析した。 骨折モデルにおいて、miR-140-3p・miR-140-5p・miR-181a-5p・miR-181d・miR-451aの発現が著明に増強していた。これら5つのmiRNAの骨折モデルにおける継時的な変化をreal-time PCRにて検討したところ、いずれも骨折直後から発現が増強し、骨折後14日目で発現のピークを迎え、その後減少するという挙動を示した。 一方、難治性骨折モデルにおいては、miR-31-3p・miR-31-5p・miR-146a・miR-146b-5p・miR-223の発現が著明に増強していた。これら5つのmiRNAの難治性骨折モデルにおける継時的な変化を検討したところ、いずれも骨折直後から発現が増強し、14日目で発現のピークを迎え、その後減少するという挙動を示した。 今回、我々が同定したmiRNAは、炎症の制御や骨の発生過程に関与していることが報告されており、これらの機能を介して骨折治癒促進・阻害に重要な役割を果たしていることが示唆された。骨折治癒促進を目標に、これらのmiRNAを用いたmiRNA創薬の展開が今後期待される.
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