研究課題
本研究では、関節リウマチ(Rheumatoid arthritis; RA)病態における自然免疫の役割に注目し、滑膜炎や骨破壊をもたらす滑膜マクロファージや破骨細胞におけるC型レクチンの役割を解析することによって、病因解明や新規治療の確立を目指すものである。C型レクチンの中で、 Macrophage inducible C-type lectin (Mincle)に注目して研究を行った。健常人の末梢血からリンパ球を単離し、LPS(0-100μg/ml)にて刺激し、Mincleの発現をフローサイロメーターで調べた。CD14陽性の単球系細胞では、LPSの濃度依存的にMincleの発現上昇が認められた。活動性を有するRA患者の末梢血と滑膜からリンパ球を単離して同様に調べたが、刺激を加えない状態ではCD14陽性、陰性細胞ともにMincleの発現は確認されなかった。マウスのコラーゲン誘導性関節炎(Collagen-induced arthritis; CIA)におけるMincleの重要性について検討を行うために、まずはC57BL/6背景の野生型(WT)マウスを用いてCIAの誘導を行った。トリII型コラーゲンと結核死菌を含む完全フロイントアジュバントのemulsionを作成し、0日と21日の2回、皮下注射をして免疫を行った。10-14週齢のオスWTマウスではほぼ毎回、80%以上でCIAの発症を確認することができた。次に、Mincle遺伝子欠損(Mincle KO)マウスを用いて、CIAを誘導し、WTとの比較を行った。WTマウスに比してMincle KOマウスでは関節炎症が減弱しており、CIAモデルにおいてはMincleが病態形成にかかわっていることが考えられた。
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