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2014 年度 実施状況報告書

閉経後の椎間板変性機序解明に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24791562
研究機関防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究

研究代表者

細金 直文  防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (10365306)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード椎間板変性
研究実績の概要

平成26年度は昨年度に確立したWistar系ラット線維輪細胞のin vitro実験系を用いて更に研究を行った。特に酸化ストレスが椎間板変性に及ぼす影響を検討した。昨年度は過酸化水素H2O2やBSO(buthionine sulfoximine)で酸化ストレスを与えた結果、MMP-3、COX-2やTNF-αなどの炎症性サイトカインの発現上昇や細胞外基質であるaggrecanの発現減少を認めた。
今年度は更に酸化ストレスの下流シグナルを検討し、H2O2添加後、Western blot法でp38、JNK、ERKがリン酸化されることを確認した。更にROS(reactive oxygen species)によるCOX-2の発現上昇は全てのMAPK阻害剤で有意に抑制されたことからMAPKが酸化ストレスの下流シグナルであることも確認した。またROSによる各遺伝子発現の変動は抗酸化剤であるNAC(N-acethylcysteine)添加により有意に抑制された。
更にTNF-αを線維輪細胞に添加したところ、有意に細胞内ROSの上昇が認められ、MMP-3発現上昇、aggrecan発現の減少が見られた。これらのmRNA発現変動はNACにより有意に抑制された。更にMAPK等の下流シグナルもNAC添加によって抑制されたことから、ROSと炎症性サイト間の間でpositive feedback loopが形成されており、抗酸化剤であるNACで制御されることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定であった卵巣摘出による閉経モデルラットにおける椎間板変性の検索については、その表現型の弱さから明確な結果を出すことは困難であったが、実験系をin vitroに変更してからは昨年度ある程度は目標を達成できていると考えている。特に酸化ストレスが椎間板変性に及ぼす影響はその下流シグナルまで明らかにすることができたことは大きな進歩であると思われる。更に本実験系でROSの影響をNACでrescueできたことは本研究から得られた知見を臨床に還元する上では非常に有用な情報になりうると考えている。

今後の研究の推進方策

本年度は昨年得られた結果を検証し、Wistarラットのin vivo 椎間板変性モデルを用いて椎間板変性への酸化ストレスの関与を遺伝子発現、MRI画像、組織所見等で検証する予定である。更にはNACでのrescueがvivoでも可能であるかどうか検証する。尾部圧迫モデルはマウスではその大きさから作出が困難であることから、椎間板変性モデルとしては椎間板の穿刺モデルを利用するよていである。
またこれらの知見を国内、海外の学会等で発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

一昨年前に研究施設が異動になり、研究環境が変化したことが多少影響していると思われるが、研究自体は概ね順調に進行している。

次年度使用額の使用計画

次年度は最終的な研究結果を更に検証しまとめるにあたり必要なin vivoの実験系に使用予定である。また得られた知見を国内外で発表するとともに新しい知見を学会等に参加して得る予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Reactive oxygen species are therapeutic targets for intervertebral disc degeneration2015

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Suzuki, Nobuyuki Fujita, Naobumi Hosogane, Ryuichi Watanabe, Tomohiro Hikata, Akio Iwanami, Kota Watanabe, Ken Ishii, Yoshiaki Toyama, Keiyo Takubo, Keisuke Horiuchi, Takeshi Miyamoto, Masaya Nakamura, Morio Matsumoto
    • 学会等名
      Orthopedic Research Society
    • 発表場所
      米国ラスベガス
    • 年月日
      2015-03-28 – 2015-03-31
  • [学会発表] 活性酸素種は椎間板変性の治療標的である2015

    • 著者名/発表者名
      鈴木悟士 藤田順之 細金直文 石井賢 渡邊隆一 日方智宏 渡辺航太 堀内圭輔 戸山芳昭 宮本健史 松本守雄
    • 学会等名
      日本軟骨代謝学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-03-06 – 2015-03-07
  • [学会発表] 椎間板変性に対する抗酸化剤の効果2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木悟士 藤田順之 細金直文 石井賢 渡邊隆一 日方智宏 田久保圭誉  渡辺航太 戸山芳昭 宮本健史 松本守雄
    • 学会等名
      日本腰痛学会
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2014-11-15 – 2014-11-16
  • [学会発表] 椎間板変性と酸化ストレスの関係2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木悟士 藤田順之 細金直文 石井賢 渡邊隆一 日方智宏 田久保圭誉 渡辺航太 戸山芳昭 宮本健史 松本守雄
    • 学会等名
      日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2014-10-09 – 2014-10-11

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公開日: 2016-06-01  

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