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2012 年度 実施状況報告書

分泌型マイクロRNAによる癌骨転移の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24791567
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

砂村 聡子  慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (20570386)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードマイクロRNA / 癌 / 骨転移 / 骨代謝
研究概要

本研究は「癌の骨転移」という視点から骨代謝に関わる新規microRNA(miRNA)を探索し、骨転移におけるmiRNAによる骨代謝調節の分子機構の解明を行うことを目的とした。
従来、miRNAは細胞内でのみ機能すると考えられてきたが、近年、細胞外へ放出される小さな膜結合小胞であるエクソソームの中にmiRNAが存在することが明らかとなった。分泌されたmiRNAが受け手の細胞内で機能することも証明されており、エクソソームは新たな細胞間コミュニケーションツールとして注目されている。
我々は、癌の中でも高頻度で造骨性骨転移を生ずる前立腺癌に着目した。前立腺癌細胞が分泌するmiRNA含有エクソソームが骨形成細胞群の機能を調節している可能性を考えた。
ヒト前立腺癌細胞株の培養上清からエクソソームを単離し、エクソソーム中のRNAを用いてmiRNAマイクロアレイを行い、前立腺癌細胞が分泌するmiRNAプロファイルを解析した。他の癌種でも同様のアレイ解析を行い、ヒト前立腺癌細胞で特異的に分泌されているmiRNAを同定した。それらmiRNAの中で、骨形成能を高めるはたらきを有するmiRNAを同定するために、ヒト前立腺癌細胞が分泌するmiRNAを骨芽細胞系細胞で過剰発現させ、骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ活性を上昇させるmiRNAをいくつか絞り込んだ。
また、エクソソームのマーカーである膜タンパク質CD63にGFPを融合させたタンパク質(CD63-GFP)を発現するヒト前立腺癌細胞を構築した。この前立腺癌細胞に特定のmiRNAを過剰発現させ、分泌されたエクソソームを骨芽細胞に取り込ませることで細胞間エクソソーム伝播を可視化するとともに、受け手の細胞内で特定のmiRNAが過剰発現することを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今年度は、ヒト前立腺癌細胞が分泌するエクソソーム中のmiRNAプロファイルを確認し、他の癌種と比較してヒト前立腺癌で特異的に分泌されているmiRNAを同定すること、同定されたmiRNAを骨芽細胞内で過剰発現させ、骨形成機能を亢進するmiRNAを絞り込んでいくことを計画していたが、おおむね達成できている。
また、エクソソーム膜タンパク質であるCD63をGFPで標識し、細胞間のエクソソーム伝播を可視化することは来年度に計画していたが、既に達成できている。

今後の研究の推進方策

ヒト前立腺癌細胞がエクソソームとして分泌するmiRNAの中で、骨芽細胞機能を亢進するmiRNAについて、その標的遺伝子の同定を目指す。
骨芽細胞機能を亢進するmiRNAをヒト前立腺癌細胞に過剰発現させ、その細胞をヌードマウスに移植し、in vivo イメージングシステムを用いて造骨性骨転移を生ずることを確認する。
癌の骨転移に着目した以上の実験により、miRNAによる骨代謝調節の分子機構を明らかにし、癌の骨転移性の診断、悪性腫瘍の骨病変の治療への応用を含めた「miRNAを用いた核酸医療」の研究を進めていく。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、平成25年度の消耗品購入に充てる予定である。
平成25年度の研究費は、ヒト前立腺癌細胞がエクソソームとして分泌するmiRNAの中で、骨芽細胞機能を亢進するmiRNAについて、その標的遺伝子の同定を目指すため、遺伝子発現の確認にリアルタイムPCR用試薬、タンパク質発現の確認にウェスタンブロッティング用試薬を購入する。また、in vivo イメージングのための試薬・ヌードマウスの購入、マウス飼育管理費として使用する。
その他、研究成果を国内外の学会で発表する際の旅費として使用する。

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公開日: 2014-07-24  

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