研究課題
ミトコンドリアに存在する主要な抗酸化酵素であるMn-SODの全身での欠損マウスは胎勢期もしくは生後すぐに死亡するため(Huang et al. 2006)、生体の骨組織での役割が不明であった。我々はCre/LoxPシステム及びタモキシフェン誘導型Cre/LoxPシステムを用いて骨組織特異的・時期特異的にMn-SODを欠損させるシステムを構築する事に成功した(Kobayashi K, Nojiri H, Saita Y et al. Sci Rep. 2015 Mar 16;5:9148.)。同システムを用いた細胞実験で、骨芽細胞でのMn-SODの発現を低下させると細胞増殖能及び石灰化能が低下することを明らかにし、in vivoでは骨組織特異的にMn-SODを欠損させたマウスにおいて、野生型マウスと比較し早期に骨粗鬆症を呈する事を明らかにした。骨細胞特異的にMn-SODを欠損させたマウスでは、骨細胞での酸化ストレスが増加し、骨細胞死がもたらされ、骨吸収を促進するRANKLの発現が上昇していた。これらにより、このマウスでは骨形成能の低下と骨吸収増加が引き起こされ、骨量の減少につながっている事を明らかにした(Kobayashi K, Nojiri H, Saita Y et al. Sci Rep. 2015 Mar 16;5:9148.)。我々の研究成果は、骨の恒常性維持機構における酸化ストレスの重要性を明らかにし、骨粗鬆症の病態の解明及び新規治療の開発に繋がるものと考えている。
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SCIENTIFIC REPORTS
巻: 16 ページ: 1-5
10.1038/srep09148.