研究課題
酸化ストレスが廃用による筋萎縮に関与することは知られているが、骨萎縮への関与は不明である。また、われわれは主要な抗酸化酵素で細胞質に局在するSOD1の欠損マウスで骨量が減少することを過去に報告(2009・2010 ASBMR)したが、廃用性骨萎縮へのSODの関与は不明である。今回は、廃用性骨萎縮における活性酸素とSODの関与を検討した。廃用性骨萎縮のモデルとしてマウスの尾部懸垂を行い、7日後に採取した骨髄細胞での活性酸素産生量を蛍光試薬を用いたFCM にて測定したところ、荷重群に比し有意に蛍光強度が増強していた(p<0.05)。尾部懸垂後7日の骨髄細胞では、ALP・Runx2など骨芽細胞分化関連遺伝子のmRNA 発現レベルの低下と破骨細胞分化マーカー(Cathepsin K)の発現レベル上昇が認められた。同時に、細胞内SODのうち主に細胞質に存在するSOD1の有意な上昇が認められたが、SOD2(ミトコンドリアに局在) の発現レベルの変化は見られなかった。これらから、尾部懸垂による骨髄内活性酸素の増加に対するSOD1 の関与が示唆された。そこで、SOD1欠損マウスにて尾部懸垂を行い、3DマイクロCT解析を行った。欠損マウスの大腿骨で骨量(BV/TV)の減少が増強された(野生型:-23.9 、 欠損マウス:-47.5)。骨形態計測においては、欠損マウス尾部懸垂において骨形成率の減少が有意に増強されていたが、尾部懸垂による骨吸収活性上昇率には有意差は認められなかった。そして欠損マウス尾部懸垂による骨量減少変化はビタミンCの腹腔内投与で有意に改善した。骨への刺激低下により骨髄内の活性酸素産生量が増大し、抗酸化酵素SOD1の発現上昇を認めた。SOD1欠損マウスにて廃用性骨萎縮が増悪したことにより、SOD1は廃用性骨萎縮に対し抑制的に働いていることが明らかとなった。
すべて 2013
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J Bone Miner Res
巻: 28 ページ: 2368-80