研究実績の概要 |
ヘパラン硫酸脱硫酸酵素(Sulf)の変形性膝関節症への効果を検討するため、マウスの半月板を不安定にさせた変形性関節症モデルを作成した。そのモデルに、Sulf1を週1回関節内注射した群とPBS投与群を作成し、4週後に組織学的検討を行った。その結果、Sulf投与群では関節軟骨の維持が監察された。また、免疫染色にてMMP13の発現がSulf投与群で抑制されていることが確認できた。 上記のメカニズムを探るべく、ATDC5細胞を用いて検討を行った。まず、軟骨分化を3週間誘導した際の、Sulf1の発現はreal time PCRにて分化の進行とともに減少していくことがわかった。つぎに軟骨分化した細胞にIL1刺激下にSulfを投与して、MAPK系のシグナルであるphosho-Erk1/2, P-38, 炎症シグナルのNF kappaの発現をwesten blottingで行ったところ、これらのシグナルの活性抑制が軽度見られた。逆にSulf ノックアウトマウスから採取した軟骨細胞にIL1を刺激して同様のシグナル伝達を検討したところSulf1KOでシグナルの活性化が顕著にみられた。 これらのことから、Sulf1はMAPK,や炎症性シグナルを介して変形性関節症の抑制の可能性を秘めていることがわかり、現在、追加実験、論文報告準備中である。
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