研究課題/領域番号 |
24791573
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
金澤 知之進 久留米大学, 医学部, 講師 (50529518)
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キーワード | FIB/SEM tomography / 腱骨付着部 / 3次元再構築像 / 3次元構造解析 / 線維芽細胞 / 硬組織 |
研究概要 |
本年度(平成25年度)は、当初の研究実施に沿い、ラット腱板縫合モデルを用いて、腱骨間治癒の組織形態変化と力学的強度を検討した。 まず、SDラットを用いて急性期腱板縫合モデルを作製し、術後4、8週後に屠殺し、各々評価を行った。力学的強度評価としては、引張試験機にて腱骨間の破断試験を行い、最大破断強度と剛性を計測した。また、形態学的な評価としては、従来の組織染色(HE染色等)に加え、次世代走査型電子顕微鏡(FIB/SEM tomography)を用いて、超微形態レベルにおける細胞の3次元構造解析を行った。結果、力学的強度は単純な腱板縫合モデルにおいても、その力学的強度は週数を経るにつれその強度を増強させてはいるが、依然として正常付着部の力学的強度には及んでいない状態であった。形態学的変化に関しては、術後腱骨間に存在する肉芽組織は、週数を経るに伴い、その形態を変化させており、細胞配列やコラーゲン線維束は成熟したものになっていた。また、介在する肉芽組織と骨との間には、両組織間をまたぐように存在する細胞を認め、その細胞突起は両組織間を錨着するように伸びていた。これは、術後腱骨間の線維性錨着が行われている中で、重要な形態変化であると考えている。 本結果は、2013年10月Combined Orthopaedic Research Societies、11月日本解剖学会九州支部会、2014年3月Orhopaedic Research Societiesにて発表、報告し、現在論文執筆中である。 また、現在は出生後腱骨付着部が形成されるまでの形態変化を中心に検討しており、これに関しては、FIB/SEM tomographyyを用いた超微形態組織変化と、腱/靭帯、軟骨形成に重要な関わりを持つSOX-9、Screlaxis発現変化の両面から解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた予定どうりに概ね進んでいる。また、懸念されていた硬組織における適正条件の設定と画像処理に関しては、前年度より改善され、克服できつつあるものの、画像解像度の点からいくつかの問題も残されており、プロジェクトと並行して更なる改善を行っている。 現在出ている結果に対しては、成果発表も行い、論文執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様、実験動物として用いるラット、妊娠ラットの購入と維持費、FIB/SEM tomography使用時の消耗品購入の為の経費が基本的に必要となる。 現在、蛍光標識による免疫染色との比較も行っているため、免疫染色のための抗体等試薬の購入が必要である。 今後、更に精度のよい力学的な評価の為、力学試験用計測機器の購入も必要と考えている。また、出生直後のラットを取り扱っており、精度よく検体を採取するためには、新型の実態顕微鏡の購入も必要かと考えている。 前年度と同様に、結果は随時、学会発表/投稿論文の形で公表していく。その為、学会発表出張時、論文投稿に要する諸経費も必要となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物であるラットの購入/維持費、また消耗品の購入に際し、納入期日と支払日の不一致から、現プロジェクトの進行の妨げになる可能性があると判断したため。 現プロジェクト維持に最も必要な実験動物の購入/維持、消耗品の購入に充てる。 また、学会発表や論文投稿に必要な諸経費に充てる予定である。
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