研究課題/領域番号 |
24791580
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
戸部 賢 群馬大学, 医学部, 助教 (90400770)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 局所麻酔薬 / 徐放薬 |
研究概要 |
リドカイン徐放薬の臨床応用に向けての試みは順調に進んでいる。リドカイン徐放シートは安定して作成することができるようになり、臨床試験部を健康成人被験者に対する安全性と効果確認試験を行っている。現在までに12例を終えて、目立った副作用を認めておらず、その効果も既存の薬剤(リドカインスプレー)と比較しても明らかに長時間の持続効果を示すことができている。実際の患者への投与を見据えて、提携大学であるインドネシアのPadjadjaran大学へ行って臨床応用へ向けてディスカッションを開始した。リドカイン徐放薬の含有クロロホルム濃度を測定し、滅菌方法を検討して臨床応用への準備を進めている。さらに現在本邦において臨床においてより使用頻度の高いレボブピバカイン徐放薬作成に関しても開始している。 クロニジン徐放薬に関しては、ラットを用いた動物実験での効果を確認したところであるが、病理学的に投与部位周囲の検討をする予定であったが、薬剤作成に関して再現性がなくなりその原因を探索中である。温度・湿度管理ができる環境を整えて、作成を続けているが、いまだ再現性に乏しい状態である。今後更なる検討が必要になる。 第32回臨床麻酔学会において、局所麻酔のこれからというシンポジウムで『徐放化局所麻酔薬の臨床応用に向けて』という題で発表した。第2回DDS徐放化再生医療研究会で『徐放化局所麻酔薬の臨床応用』という題で発表した。また、『新規治療 疼痛治療領域における徐放薬作成』という題で、『ここまで広がるドラッグ徐放技術の最前線』という本を共同執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
局所麻酔薬の徐放化研究に関しては、おおむね順調に進展している。動物実験を終えて、健康成人被験者を対象に医師主導型臨床試験に入っている。今後はさらに患者を対象とできるよう様々な方面で準備中である。さらに新規徐放薬剤に関しても研究を開始し、さらなる可能性を追求している。 α2アゴニスト徐放に関しては、一部薬剤作成でうまくいかない部分があるが、現在その過程に関して確認中であり、必要に応じて、共同研究者の工学部の先生に原因調査を依頼する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
リドカイン徐放薬に関しては、現在のものをいかにして臨床応用できるかという点に焦点を絞って引き続き研究を進めていく予定である。ヒトでの安全性と効果が確認できれば早い段階で実際の患者の治療で使用する準備を多方面から進めていく。 レボブピバカイン新規徐放薬に関しては、新たな徐放手法で現在までに20種類ほどの薬剤作成を終えて、おおよその見当はついたので、まずは安定して作成できることを確認したら動物実験に入る予定である。 α2アゴニスト徐放に関しては、クロニジン徐放薬作成にまず尽力し、薬剤が安定して作成することができれば、動物実験を完了する。さらに局所麻酔徐放薬とクロニジン徐放薬の相加、相乗効果に関する検討も行っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に引き続き、薬剤作成に係るポリマーの購入費用や実験器具消耗品は必要となる。また、動物実験を継続して行っていくため、ラット購入費用も必要となる。さらに学会発表や国内外の共同研究者(京都大学、インドネシアPadjadjaran大学)との打ち合わせのために旅費が必要となる。 健康成人被験者を用いた臨床試験を行う必要があれば、被験者に支払う謝金が必要となる可能性もある。
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