研究課題/領域番号 |
24791580
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
戸部 賢 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90400770)
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キーワード | 徐放薬 / 局所麻酔薬 / 医工連携 |
研究概要 |
既に作成して、動物実験を終えたリドカイン徐放シートをヒトへ使用するために随時準備を行っている。まず、ヒトへ使用するために滅菌方法やクロロホルム残量を調査した。クロロホルム残量は測定できたが、ヒトへの影響のあるレベルではなかった。滅菌方法に関しては、当初ガス滅菌を検討していたが、温度による徐放薬の変性問題が生じて、ガンマ線滅菌を行うこととした。そして、院内の臨床試験登録を行い、健康な成人男性被験者を対象に、リドカイン徐放薬投与試験を計画した。鼻粘膜にリドカイン徐放シートを72時間貼付し、その都度鼻粘膜の痛み閾値を測定した。さらに試験前後で、採血検査、心電図検査等行い安全性を確認した。結果として、72時間にわたり疼痛閾値を下げずに、安全性においてもほぼ問題ないという結果となった。現在その結果に関して論文投稿中である。さらに引き続いて、実際の患者に投与するための臨床研究を開始している。試験概要は、院内の臨床試験登録を行い、歯科口腔外科で埋伏智歯の抜歯を行う際に、リドカイン徐放薬を投与するというものである。患者を4群に分けて、抜歯部位に基材(リドカインなし)、リドカイン徐放薬100、200、400㎎を投与して、その痛みの程度と鎮痛補助薬の使用状況を調査し、さらに有害事象も調査することとしている。現在数例行っており、100症例を目標に行う予定である。ある程度研究が進んだら、インドネシアにある提携大学においても同様の試験を行う予定である。 α2アゴニストを用いた徐放薬研究は、いまだ薬剤作成段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト被験者の試験を終えて、現在患者を対象に試験計画を立てて、臨床試験を遂行中である。多施設共同研究への準備も同時進行で進めて、症例数を増やせるよう努力が必要である。 α2アゴニスト徐放薬作成に関しては、薬剤作成段階でうまくいかずに次のステップへ進めずにいるが、さらに作成を重ねて手法に関しても検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの試験は、投与するためのアプローチが簡単であることと、有害事象が生じた際に取り出しやすいことを考慮して、口腔内や鼻腔内で行ってきたが、今後は実際の創部にそのまま投与したり、生体内分解材料を用いた製剤なので、そのメリットを生かして、体内に留置したまま経過をみるような研究デザインでの試験を組んでいくことを目的とする。ヒトにおける安全性と効果が確認できたら、さらに広い適応を求めていくことと、多施設における同様の試験の企画を行っていくことで、広く試用されるようになることを目指す。一方で、薬剤作成に関しては、より管理されたエリアで(GMP基準を満たすような)作成できるよう、創薬企業や薬剤部と調整を行っていく必要もある。 α2アゴニスト徐放薬が作成できたら、その効果と局所麻酔徐放薬との相乗効果などを検討したいと思う。
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次年度の研究費の使用計画 |
臨床研究の謝金支払の必要性がなくなったために、一部次年度への繰り越し金ができた。 徐放薬の作成が、新規の局所麻酔薬であるレボブピバカインとα2アゴニストであるクロニジンで開始しているが、進行が思うようにいかず、濃度測定を迅速におこなえるようにすることでスピードアップを測る。そのために今まで当院の薬剤部で濃度測定を依頼していたが、HPLCのシステムを導入して、自分たちの研究室内で測定できるようにする。HPLCの機械はすべて含めると非常に高価なので何人かの研究費を用いて、共有設備として分割購入予定である。
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