研究課題/領域番号 |
24791593
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
石田 亮介 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (50508934)
|
キーワード | オピオイド受容体 / 内在化 / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
フェンタニルの引き起こす受容体内在化について検討した。 全身麻酔下にラットのL4-5椎間から脊髄くも膜下カテーテルを挿入、回復期間を置いた。カテーテルより、過去の我々のグループが行った実験を基に決定した投与量であるフェンタニル(10μg/10μl)をくも膜下投与し、その後還流固定を行い脊髄を摘出した。脊髄後角第II層のニューロンを共焦点レーザ顕微鏡と電子顕微鏡の双方で観察した。フェンタニルでは投与後5分後から細胞質内にμオピオイド受容体のimmunoreactivityが認められ、フェンタニルは受容体の内在化を引き起こし、かつその内在化が比較的高速に行われていることを示していると考えられた。 フェンタニルは臨床の使用においてはしばしば耐性の形成がみられる。これは内在化が耐性から逃れる機構であるとする仮説およびフェンタニルの内在化が高速であることからは説明が困難であるが、疼痛の存在下ではフェンタニルによって内在化した受容体の再感作が抑制されることを示した報告があり、疼痛存在下では受容体の細胞内動態が異なっていると思われるため、この点についてはさらなる検討の余地があると考えられた。 ここまでの実験で認められた、オピオイドの種類によって内在化の様式が異なるという現象は、受容体がアゴニストの結合により異なる立体構造変化を起こし、異なる細胞内情報伝達経路を活性化しているというligand-biased efficacy説を支持するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究で典型的な3つのオピオイド(モルヒネ、DAMGO、フェンタニル)による受容体内在化による細胞内局在の違いを明らかにし、形態学的実験で可能な範囲で所用時間を推定することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は超短時間作用性という特徴的な性質を持ち、臨床で広く用いられているレミフェンタニルについてその内在化様式の特徴を検討する。初年度に行った予備実験およびオピオイドとしての特徴から考えると、投与開始後早い時点での観察を必要とすると思われる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
昨年度までの実験結果を踏まえ、今後行う実験のプロトコルについて再度検討を行っていたため、実際の実験動物の購入が予定より少なかった。 実験を継続し、実験動物、試薬など、消耗品購入に使用する。
|