心筋に対する様々な保護的刺激を介したプレコンディショニングおよびポストコンディショニング現象について、それらを阻害する因子について引き続き実験施行のうえで検討を重ねている。心筋に対するプレ/ポストコンディショニングは動物実験上で極めて強力な臓器保護効果が示されているが、これらを実臨床において応用していくには、それらの保護作用に影響しうる生体の内的・あるいは外的因子について把握し機序を解明した上で、プレコンディショニングによる保護作用が十分に発揮しうる生体内環境の維持を行うことでより確かな保護効果を得られるのではないかと考えている。 これまでに当方の研究グループでは、心筋プレ/ポストコンディショニングの保護効果に影響しうる因子として生体の内的環境として糖尿病ならびに高血糖状態、外部由来の因子として周術期に生体に投与されうる麻酔薬について着目し検討を重ねてきており、随時学会発表や論文作成の形で結果を報告している。現在は臨床にて広く使用されている全身麻酔薬であるプロポフォールおよびセボフルランについて、その投与が臓器虚血性のプレコンディショニング作用に対してどのような影響があるのか、またその阻害機序についての検討を続けており一定の結果が得られている。その一部は学会発表を行っているが(American Society of Anesthesiologists;Annual meeting、日本静脈麻酔学会)今後最終的にデータのまとめ、考察の上で論文作成を予定している。
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