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2012 年度 実施状況報告書

エピゲノム網羅関連解析による術後悪心嘔吐の性差の機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 24791606
研究種目

若手研究(B)

研究機関札幌医科大学

研究代表者

早瀬 知  札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20579007)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際情報交換
研究概要

平成24年度、申請者らはヒトについては200症例を集積し、ハプロタイプ解析を通じてTACR1遺伝子の一塩基多型は術後嘔気嘔吐と関与することを発見した。またヒトにおけるTACR1遺伝子の発現を調節すると考えられる遺伝子のプロモーター領域におけるメチル化が術後嘔気嘔吐の程度に関連することを発見した。このことをマウスで確認するべく、マウスにおいて術後嘔気嘔吐モデルを作製し、脳内複数部位のニューロンをレーザーマイクロダイセクションにより単離し、単離ニューロンよりTACR1遺伝子プロモーター領域におけるメチル化率の測定・mRNAの発現プロファイルを観測する実験系を確立した。現時点で嘔気嘔吐の中枢と考えられている最後野・孤束核・被殻におけるメチル化率・mRNAの発現プロファイルとマウスの嘔吐行動とを対照している。その一環として、TACR1遺伝子プロモーター領域において血液と被殻でメチル化率が相関することを発見し、マウスにおいても被殻におけるメチル化率と嘔吐行動とが相関することを認めた。このことにより、血液のTACR1遺伝子プロモーター領域におけるメチル化率の測定は術後嘔気嘔吐のバイオマーカーとなりえる可能性が示唆された。
さらにエストロゲン受容体のアゴニスト・アンタゴニストをそれぞれ投与したマウスにおいてTACR1遺伝子の発現が脳内の各部位において増大していることを認め、女性において男性より多いエストロゲンの存在が術後嘔気嘔吐の原因となっている機序の一端を解明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脳内の複数部位におけるメチル化率の測定に必要な実験系は確立し、マウスの嘔吐行動と対照させることでヒトにも応用可能な知見が得られることと思われる。
一方で網羅的解析に関しては学内にバイオインフォマティシャンが不在であることから、国外のバイオインフォマティシャンにも協力を要請する計画である。また学内における設備を用いた場合、メチル化率解析ではなく、mRNAの包括的解析の方がより現実的であり、mRNAの抽出・解析に関する実験系を追加で確立した。
当初の実験の目的を実現することは可能であると考えられる。

今後の研究の推進方策

特にTACR1遺伝子の発現プロファイルがPONVにインパクトを与えることを確認するため、追加でヒト由来のTACR1遺伝子の発現プロファイルを解析する。またマウスの各嘔吐中枢におけるmRNA発現プロファイルを確認する。

次年度の研究費の使用計画

分子遺伝子学的試薬に全て用いる予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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