研究課題/領域番号 |
24791606
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
早瀬 知 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20579007)
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キーワード | 麻酔科学 |
研究概要 |
平成25年度、申請者らはヒトTACR1遺伝子の一塩基多型が術後悪心嘔吐(PONC)と関与することを発見し、さらにin silico analysisを通じてエストロゲン転写調節配列の多型が強くPONVと関連することを発見した。平成24年度に確立したマウス脳神経核よりニューロンを単離する実験系を用い、嘔吐中枢として知られる被殻・最後野・孤束核についてTACR1遺伝子のmRNA発現およびDNAメチル化率の定量を行った。結果として被殻においてのみTACR1遺伝子の発現量は嘔吐刺激により増大し、TACR1遺伝子は被殻においてPONVに関与しており、エストロゲンによって誘発されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標であった嘔吐中枢におけるTACR1遺伝子の発現について一定の知見が得られたことと、DNAメチル化率はTACR1遺伝子のmRNAの発現量と負の相関が認められることも確認された。これらの知見は、ヒトにおけるTACR1遺伝子のメチル化率とPONVの強さが負の相関を示すことを説明しうると考えられ、TACR1遺伝子のより誘発されるPONVの機序の一端を解明したものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
TACR1遺伝子以外のLINE-1などのメチル化率とPONVの強度を検討する。またPONVだけでなく、術後疼痛の強度と新規の遺伝子多型について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の予算執行状況はほぼ予定通りであり、残額は45377円と少額である。 分子遺伝学試薬および実験器具購入資金として充当する予定である。
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