術後悪心嘔吐(PONV)がヒトTACR1遺伝子の一塩基多形(SNP)と関連するか検討した。その結果TACR1遺伝子上のエストロゲン応答配列上のSNPの変異はPONVの発症頻度と強く関連し、ハプロタイプ解析によって特定のハプロタイプを持つ患者においてPONV発症頻度が減少する可能性が示唆された。TACR1遺伝子のプロモーター領域のメチル化について検索し、また手術モデルマウスを作製しエストロゲンにより嘔吐行動が誘発されるか検討した。女性においてはメチル化率が高いほどPONVの強度が減弱することが示され、また手術モデルマウスにおいてエストロゲンとモルヒネ投与によって嘔吐行動が増強することが示された。
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