初年度、次年度に行った研究結果を受け、指導者因子としてシミュレーションシナリオのさらなる開発、効果的な指導法の研究を継続して行った。具体的には、後期研修医を受講者モデルに見立て、麻酔科医にとり特にストレスが高く、非常に緊急に手術が行われるため知識の確認を行う余裕なく麻酔開始が求められる超緊帝王切開術のシナリオトレーニング開発を行った。また、初年度のアンケート調査を受け、受講者因子として受講ニーズが高いと考えられる末梢神経ブロックの指導法に付いて日常臨床の中で指導法を検討した上で、この分野で世界的に指導的立場にあるドイツフランクフルト大学整形外科病院に置いて、末梢神経ブロック指導研修を受講した。この中では、とくにリアルタイム超音波ガイド下の末梢神経ブロックの指導法を習得した。この結果から、スキルトレーニングとしての末梢神経ブロック指導コースを作成した。また、長期休暇後にはスキルが劣化し、合併症発生率が高い手技として中心静脈カテーテル留置が考えられるので、これについてのスキルトレーニング研究を行った。受講者モデルとして初期研修医を用い、従来から広く行われているランドマーク法の指導法について研究を行った。さらに、受講者モデルとして後期研修医を用い、リアルタイムエコーガイド下中心静脈留置の指導法について研究を行った。また、さらにスキルトレーニングの一つとして、気管支鏡ガイド下の、覚醒下気管挿管トレーニング法の研究を行った。また、効果的な指導デバイスの研究として、受講者モデルに学生を用い、ビデオ喉頭鏡によるスキルトレーニングが、従来型喉頭鏡に比較しスキル向上に効果的である可能性について研究を行った。また、災害時の対応は、大震災を経験した本国においては非常に重要であると考えられ、シナリオに加えるべく研究を行った。
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