研究課題/領域番号 |
24791618
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高橋 陵太 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00464628)
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キーワード | セロトニン症候群 / トラマドール / 痙攣 / 脳内モノアミン |
研究概要 |
慢性疼痛の治療に三環系抗うつ薬やSSRIなどセロトニン再取り込み阻害作用を有した薬剤が使用されることが多く、本邦においても弱オピオイド作用とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するトラマドールとアセトアミノフェンの合剤が慢性疼痛に 使用可能となり三環系抗うつ薬と併用されている。これにより脳内セロトニンが増加するセロトニン症候群の発生率が上昇することが予想される。これらの薬物を投与したラットの視床下部等のセロトニン濃度をマイクロダイアライシス法で測定するとともに異常行動を評価することでセロトニン症候群を誘発する薬物投与量を検証する試みであった。今回我々の実験によりトラマドールの持続静注により視床下部でのセロトニン濃度が上昇し痙攣が誘発されることが判明したが、トラマドール誘発性痙攣がセロトニン症候群の一症状であるかを吟味する必要が出てきた。そこで我々は脳内セロトニンを増加もしくは減少させる薬物(増加させる薬物:ベンセラジド・5ハイドロキシトリプトファン、減少させる薬物:p‐クロロフェニルアラニン)を用いたうえで、トラマドールを持続静注することとした。その結果脳内セロトニンが減少していたラットのほうが増加していたラットと比較し有意に痙攣発生までの時間が短縮していた。これによりトラマドール誘発性痙攣はセロトニン症候群の一症状ではないが、その痙攣発生閾値に関与する因子であることが明確となった。トラマドールによる痙攣にμ受容体が関与するかを吟味するため、ナロキソン投与後にトラマドールを持続静注したが、痙攣発生までの時間に変化はなかった。したがってトラマドール誘発性痙攣にμ受容体が関与していないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初のセロトニン症候群についての研究とは異なるが、トラマドール誘発性痙攣と脳内セロトニン濃度の関係を解明しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
トラマドール誘発性痙攣に対する脳内セロトニン濃度の影響についてデータ収集がかなり進んでいる。今後もう少しデータ収集を行い、研究結果を公表する段階に移行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
かなり小額の残金であったため、実験に必要な消耗品を購入できなかったため。 次年度の予算と合わせて、実験に必要な消耗品などを購入する費用に充当する。
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