弱オピオイド作用とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を有するトラマドールが慢性疼痛に使用可能となり三環系抗うつ薬との併用で、セロトニン症候群の発生率上昇が予想される。本実験でトラマドール持続静注により視床下部セロトニン濃度が上昇し痙攣が誘発されたが、トラマドール誘発性痙攣がセロトニン症候群の一症状であるかを吟味する必要が出てきた。次に脳内セロトニンを増減させる薬物を用いたうえで、トラマドールを持続静注した。その結果セロトニン減少ラットのほうが増加ラットと比較し有意に痙攣発現時間が短縮した。これによりトラマドール誘発性痙攣とセロトニン症候群は異なる病態であることが明確になった。
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