局所麻酔薬中毒に対して、脂肪乳剤の投与が有効であることが以前から報告されていた。本研究は脂肪乳剤の有効性の機序を解明することを目的として行った。局所麻酔薬として心毒性の強いブピバカインを用いた。細胞を使った実験で脂肪乳剤は細胞外のブピバカインを取り込み、細胞外濃度を低下させ、結果的に細胞内のブピバカイン濃度を低下させることが示唆された(リピッドシンク)。モルモットの摘出心臓を用いた実験からは、脂肪乳剤がブピバカインによって抑制された心機能を著しく回復させて、その機序もリピッドシンクが強く関与していることが明らかであった。in vivoモデルを用いた実験においても同様の結果が得られた。
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