研究実績の概要 |
敗血症における低血圧は、体血管のアデノシン三リン酸感受性カリウム(KATP)チャネルの活性化や過剰発現によって引き起こされる。また、トラマドールはKATPチャネルを介する血管拡張反応を阻害する作用を有するとされる。よって今回我々は、トラマドールが敗 血症による血管拡張反応を抑制し、さらには炎症性サイトカインの産生を抑制するという仮説を立て、敗血症モデルラットを用い検討することを目的とした。 方法として,まず、CLP敗血症モデルラットにおけるモルヒネおよびトラマドールの循環動態に対する影響を検討することを目標とした。 Wistar雄性ラットをハロセン麻酔下およびトラマドール(0.03-0.3mg/kg)あるいはモルヒネ(0.3-3mg/kg)腹腔内投与下に開腹し、CLPを施行するCLP群と盲腸をmanupirationするコントロール群を作成し、閉腹する。モルヒネあるいはトラマドールは3時間おきに同量の投与を繰り返す。開腹手術後、6時間、12時間、24時間、48時間で動脈血採血とノルエピネフリン(1µg/kg)を行い血圧変化を記録する。途中で死亡した場合は、経過時間を記録する。採取した血液は、フローサイトメトリー法(BDTM Cytometric Beads Array)を用いて、インターフェロン(IFN)γ、インターロイキン(IL)-1α、IL-4、IL-6、IL-10、およびTNFを測定して各群間で比較し、敗血症モデルの確立、および敗血症に及ぼすモルヒネとトラマドールの作用を検証するつもりであった。 しかし、今年度は、方法論の中心となるフローサイトメトリー法の結果に、非常にばらつきがあった。
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