研究実績の概要 |
本研究では、神経胃障害性疼痛下における疼痛発現、維持の機構解明を目的として、坐骨神経障害疼痛モデルマウスを作製し、神経障害性疼痛下の脊髄、側坐核、扁桃体におけるmicroRNA(miRNA)の発現プロファイリングおよび発現変化のあったmiRNAの機能の解明を試みている。 近年、miRNAがエクソソームのようなナノサイズの小胞顆粒に包埋されることによって、多くの消化酵素からの分解を免れ、血中においても安定に存在することが報告されている。これまでの本研究の結果から、神経障害性モデルマウスの脊髄内や血中においても、いくつかのmiRNAの変動が認められている。こうした結果を元に慢性疼痛患者の血清を採取し、エクソソームを抽出することによって、血中miRNAの解析を試みた。その結果、神経障害性疼痛モデルマウスの脊髄や血中において増加したいくつかのmiRNAは、ヒト臨床検体においても健常者と比較して有意に増加するといった結果が得られた。こうした結果は現在さらに例数を追加し、投稿準備中である。 また、こうしたmiRNAと疼痛の関係についての研究成果が、Trends in Neurosciences, 38, 237-246, 2015. (IF=12.902) に「Epigenetic mechanisms of chronic pain」として掲載された。
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