研究概要 |
坐骨神経絞扼による神経障害性疼痛モデル(CCI)を作製した。Bennett and Xieの方法により、雄Sprague-Dawley(SD)ラットをペントバルビタール麻酔下に大腿骨上の皮膚を切開し片側の坐骨神経を4.0-silk糸で4箇所緩く結紮すると処置から7日目に患肢に機械的痛覚過 敏、熱的痛覚過敏、冷的痛覚過敏が発現した。薬物を髄腔内に投与するため、Yaksh and Rudyの方法によりラットの大槽から尾側に向かってクモ膜下カテーテル(PE-10)を挿入した。4種類のフリーラジカル消去薬edaravone, PBN, DMPO, Vitamin Eを髄腔内と脳室内に 単回投与し、CCIモデルにおける抗侵害作用を調べるため、①Plantar test (熱的痛覚過敏試験)②Cold plate test (冷的痛覚過敏試験)③electronic von Frey test (機械的痛覚過敏試験)を行った。対照として生理食塩水またはDMSOを用いた。edaravoneの0.5mgと1.5mgの髄腔内投与ではいずれのテストでも対照群との差を認めなかった。今後脳室内投与による抗痛覚過敏作用を調べる。Vitamin Eは1mgと2mgの髄腔内投与で用量依存性に機械的痛覚過敏と冷的痛覚過敏を抑制した。脳室内投与でも同様に鎮痛作用が発現するか更に検討する。一方DMPOの髄腔内投与では2mgで機械的痛覚過敏と冷的痛覚過敏を抑制したが脳室内投与では2mgと4mgともに全てのテストで対照群との差を認めなかった。PBNも同様に髄腔内投与で認めた鎮痛作用は脳室内投与では認められなかった。DMPOやPBNの鎮痛作用には脊髄で侵害受容伝達を調節している受容体への作用が関係していると考えられる。今後各種受容体アンタゴニストを前処置して鎮痛作用に影響を与えるか検討する。
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