坐骨神経絞扼により神経障害性疼痛モデル(CCI)を作製した。Bennett and Xieの方法により、雄Sprague-Dawleyラットをペントバルビタール麻酔下に大腿骨上の皮膚を切開し片側の坐骨神経を4.0-silk 糸で4 箇所緩く結紮すると処置後4日目から患肢に機械的・熱的・冷的痛覚過敏が発現した。対照には坐骨神経の剥離・露出のみを行うSham手術を施した。1週間後にUgo Basile社製の圧刺激疼痛閾値測定装置を用いて痛覚過敏が認められたラットのみを実験に用いた。薬物を髄腔内に投与するため大槽から尾側に向かってポリエチレンカテーテル(PE-10)を8.5 cm 挿入した。また脳室内に投与するためラット右側脳室に22Gのステンレス製ガイドカニューレを頭頂骨より4.0 mm 挿入し、頭部に固定した。脳室内投与には29Gの注入用カニューレ、髄腔内投与には30Gハミルトンシリンジでedaravoneとvitamin Eを0.5-2.0mg/10μL投与し、30分後に1)Plantar test 2) Cold plate test 3) electronic von Frey testを行った。edaravoneとvitamine Eはともに高用量でも機械的・熱的・冷的痛覚過敏を抑制しなかった。既に行っているDMPOとPBNの結果と合わせてCCIモデルにおいてフリーラジカル消去薬の脳内での鎮痛作用はほとんどないことが示唆された。続いて髄腔内投与で機械的・冷的痛覚過敏に対する抑制作用を認めたvitamin Eに神経障害性疼痛の発現を予防する効果があるか調べるため、坐骨神経結紮後にvitamin Eとvitamin Cをそれぞれ50mgと100mg腹腔内投与し、1週間後の機械的痛覚過敏の程度に生理食塩水を投与したラットと差が生じるか検討した。その結果、神経損傷後に単回投与したvitamin Eとvitamin Cには神経障害性疼痛の予防効果が無いことが示唆された。
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