研究課題/領域番号 |
24791630
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
宮島 萌子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第四部, 客員研究員 (90318147)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 全身麻酔薬 / 幼弱期暴露 / 障害 |
研究概要 |
霊長類であるマーモセットに全身麻酔薬を投与し、発達期の神経細胞への全身麻酔薬の影響を調べることが本研究の目的である。本年度は免疫学的手法を用いて全身麻酔薬の影響を調べることとした。 マーモセットとの結果の比較を念頭にラットでも実験を行った。これまでの報告と同様に生後7日齢のラットに6時間の麻酔薬投与を行った。麻酔薬投与後脳の潅流固定を行い、切片を作製した。免疫染色を行い麻酔薬非投与群(コントロール群)と麻酔薬投与群を比較した。麻酔薬投与群はコントロール群に比べ、少なくとも大脳皮質の第2層から3層に神経細胞死(アポトーシス)の増加が認められ、これまでの報告と一致した結果が得られた。 ラットでの麻酔薬投与実験を基に生後3日齢のマーモセットにセボフルレン3%、5時間の投与を行った。麻酔薬投与中は酸素飽和度、心電図、血液ガス分析、直腸温による体温測定を行った。酸素飽和度、心電図、体温のモニターは可能であった。温水マットの使用により体温は保持された。採血は麻酔薬投与2時間では可能であったが、その後は困難であった。麻酔薬投与終了後、速やかにマーモセットは覚醒した。その後経口にて人工乳を投与し、3時間経過を観察した。経過観察後高容量のペントバルビタールを投与し脳の潅流固定を行った。潅流固定された脳から切片を作製した。免疫染色を行いアポトーシスが生じているか解析中である。麻酔中の採血方法と効率の良い切片の作製法についても検討中である。以上の2点について改善し、引き続き実験を続けていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
霊長類であるマーモセットに全身麻酔薬を投与し、発達期の神経細胞への全身麻酔薬の影響を調べることが本研究の目的である。従来から行われている免疫学的手法では神経細胞死(アポトーシス)が指標とされている。本研究では生後間もないマーモセットに麻酔薬を投与し神経細胞のアポトーシスが増加すれば、次に電気生理学的手法を用いて神経細胞の機能への影響を調べる計画である。まず免疫学的手法を用いたマーモセットの実験系を作成することとした。マーモセットとの結果を比較することを念頭に、並行してラットでも実験を行ってみた。ラットについては麻酔薬投与、脳の潅流固定、脳の切片作製、免疫染色まで一連の実験系がおおまかに作成できた。マーモセットでは現在実験系を作成している段階である。麻酔薬投与中の採血法と効率の良い切片作製法について検討中である。この二つが改善されれば実験系としてほぼ完成と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
実験系の確立のために、麻酔中の採血方法と効率の良い切片作製法について検討中である。採血法としては静脈へのカテーテル挿入から毛細管採血を含めて検討を行う。この二つが改善されれば神経細胞のアポトーシスの増加について麻酔薬非投与群(コントロール)と麻酔薬投与群の比較に進む。この結果を基に次年度の実験計画を引き続き行うことが可能と考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
マーモセットの麻酔管理に必要な麻酔回路、採血キット、血液ガス分析カートリッジ、セボフルレン、免疫組織学的に評価するために必要な薬物、薬理学的試験に必要な薬物、論文添削別刷代、学会参加費に使用する計画である。
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