研究課題/領域番号 |
24791631
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
飛澤 悠葵 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70623768)
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キーワード | 糖転移酵素 / 糖鎖抗原 / モノクローナル抗体 / 癌 / マーカー |
研究概要 |
前年度では、前立腺癌全摘除標本の免疫染色により悪性度マーカーとしての有用性を検討した。 本年度は、尿および血中のC2GnTの検出系の構築を行い、その有用性について検討した。さらに、MUC1上のコア2糖鎖構造認識抗体作成のために、癌細胞よりMUC1遺伝子をクローニングした。 生体成分を用いる実験系では感度が問題となると予想されたため、本年は前立腺の触診後に採取可能な前立腺マッサージ尿を用いた検討を行った。前立腺マッサージ尿中には、前立腺由来のタンパク質が豊富に含まれることから、感度の問題をクリアできると考えた。 前立腺マッサージ尿をニトロセルロース膜にスポットし、抗C2GnTモノクローナル抗体を用いて、ドットブロッティング法により検出を行った。その結果、前立腺癌患者121名の検出結果から、術前のパラメータとC2GnTの陽性、陰性例との間に相関は見られなかった。そのうち前立腺全摘除術を施行された47名について術後パラメータとの比較を行ったところ、癌が前立腺外に浸潤していることを示すpathological stage (pT) 3の患者でC2GnT陽性率が有意に高い事を確認した。 以上の結果より、C2GnTの体液診断系が悪性度の判定に有用であることが示唆されたが、今後血液中、尿中などの検出系を構築し、更なる検討が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、体液診断による判定法も有用である可能性が示唆された。 分泌タンパク質であるのMUC1抗体の作製は、本年度にはできなかったが、癌細胞由来のMUC1遺伝子のクローニングに成功し、来年度に向けて抗体の樹立の準備が整いつつある。 血液検体、尿検体の準備もできており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は前立腺マッサージ尿を用いた検討を行ってきたが、検出系の感度を上げて血中もしくは尿中のC2GnT検出系の構築を目指す。 また、糖鎖および糖タンパク質を認識する抗体の樹立を行う。
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