尿道内腔3次元構築法を用いる事で、①α1ブロッカーの治療前後の尿道拡張様式(及び拡張部位)、②尿流シミュレーションによる尿流速度・尿流圧の変化や尿流停滞部位の同定、尿流入部と流出部でのエネルギーロスの程度、③治療抵抗性及び治療感受性患者における尿道拡張様式の違い、④α1レセプターのサブタイプに対する親和性が異なるα1ブロッカーと尿道拡張様式の違いを検討する。 上記を研究目標と設定し、研究を行ってきた。上記①と②に関しては、46症例を選出し画像を集積した。これらから得られた映像から3次元パノラマ画像を作成し尿道拡張作用を評価し、内服治療により精阜部近傍が最も拡張することが判明し、それらが排尿症状改善に寄与している可能性が示唆された。またコンピューター上で、仮想空間を作成し、再度立体構築した前立腺部尿道内腔立体モデルを作成し、内部に尿が流れているときの尿流シミュレーションを行い尿流の可視化を行った。これにより尿流の減弱に大きく関わっていると考えている渦流頻発発生部位の同定が可能となった。その結果、渦流は精阜部近傍12時側に多く発生していることが判明し、治療により渦流が減少することや、渦流が減少することが症状改善に寄与していることも示唆された。さらには、膀胱頚部と精阜での尿流のエネルギーロスを計測し、治療前後でエネルギーロスが低下することが判明したため、当グループで海外の学会発表及び論文投稿を行い掲載された。上記③は現在も継続研究中である。上記④に関しては、シロドシン以外の塩酸タムスロシンとナフトピジルを用いた症例での検討を行い、拡張様式に差があり、作用点が異なっている可能性が示唆された。
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