研究課題/領域番号 |
24791647
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
日向 信之 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10598816)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 二光子励起蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
ロボット支援前立腺全摘除術において自律神経線維もしくはガングリオンの可視化による術中ナビゲーションが可能となれば,より精度の高い神経温存が可能となると考えられるため,二光子励起蛍光顕微鏡が泌尿器科骨盤内神経温存の術中ナビゲーションとして応用可能であるかにつき基礎的検討を行うことを目的とした. a. ラット骨盤内の二光子励起蛍光顕微鏡での観察 顕微鏡を用いた観察および測定は、大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所にて行う予定であったが,鳥取大学医学部において二光子励起蛍光顕微鏡が共同研究設備として利用可能となったため,全ての研究を鳥取大学にて行った.骨盤内組織を二光子励起蛍光顕微鏡下に観察するためには、適切な血流を保った状態で骨盤内組織を遊離し観察する必要がある.ラットを観察後にsacrificeし,骨盤内組織を採取した. b. 組織の採取、観察および免疫組織化学染色 ラット骨盤内組織は固定、脱脂、脱水の後にパラフィン包埋した.顕微鏡下の観察にて得られた面と平行に切片を作成し、H-E染色、マッソントリクローム染色を行う。Thyrosin Hydroxidase抗体およびnNOS抗体を用いた免疫組織化学染色にて交感神経および副交感神経の分布につき検討を行い、これら組織所見を二光子励起蛍光顕微鏡にて得られた所見と比較し、部位の一致につき検討した.ラット骨盤内神経の観察に適切な波長の設定を試みたが,神経組織のみを観察するための最適な波長の設定を達成することは今年度中には不可能であった.しかし組織の固定と上記染色を行った結果,骨盤内組織における弾性線維とヒアルロン酸の分布に着想を得,ここから派生した機能温存前立腺全摘除術を目的とした骨盤内解剖学の研究成果を報告した.また術中視野を改善させる観点に着想を得,ロボット支援前立腺全摘除術における三次元モニターの有用性につき報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
二光子励起顕微鏡による骨盤内神経の観察は報告がなく,観察のための励起光の波長設定が困難であった.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ラットを用いた骨盤内神経の観察を行う。 前年度に得られた所見により、骨盤内神経の観察に至適な励起波長を同定する。この励起波長によって、より詳細な自律神経の観察を行う。 免疫組織学的所見との対比により、自律神経の内交感神経、副交感神経の励起波長による個別の可視化につき検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
翌年度にも80万円のラット購入費用を計上している。研究代表者が神戸大学に異動したため,神戸〜米子間の複数回の移動経費として両年度ともに40万円ずつを計上している。また、実験動物の飼育および臓器摘出、免疫組織化学染色に費用を計上している。 さらに、関連学会での最新の情報を収集するための調査・研究旅費、国内外に成果の一端を報告するための論文投稿料や英語論文校閲のための謝金を計上している。
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