REIC遺伝子治療による抗癌免疫誘導効果に着目し、REIC遺伝子治療と放射線治療とを併用することで従来制御不能であった進行性前立腺癌の制癌効果を高めようとすることが本研究の目的である。本年度の研究では、尿路性器癌における自己癌ワクチン化療法と放射線療法の併用効果を最大限に引き出す為に、液体性の治療薬剤を局所で広範囲に拡散可能な技術に関する研究を併せて実施した。これまでに生体組織内に薬液を直接注入する薬剤投与法による疾患の治療が数多く報告されている。この方法により薬剤が周辺組織に浸透および拡散していく機序には、「物質の拡散」と「液体の流動 」の2つがあると報告されており、前者は物質の濃度勾配に基づく当該物質の拡散であり、後者は薬液を注入した局所での圧の上昇による当該薬液の周囲への流動であると考えられる。平成26年度は、担癌マウス・ハムスターモデルにAd-REIC剤を腫瘍内投与するin vivo解析を実施する為、種々のマウス・ハムスター由来癌細胞におけるAd-REICの感受性試験、および腫瘍形成能の解析を行った。さらに、従来の液性薬剤注入技術における欠点を改善するような、浸透装置および注入装置を用いた新規の薬剤注入法に関する研究を実施し、各種条件検討等により成果を得た。当該技術により、局所放射線治療による抗腫瘍効果にAd-REIC剤局所投与による抗癌免疫療法を上乗せすることで、これらの抗腫瘍効果において高い相乗効果を生むことが可能となると考えられた。
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