研究課題
平成24-26年度に岡山大学倫理委員会で承認された以下の研究を平成27年度は本格的に運用し、多くの登録症例を得て学会や研究会で報告した。主要な研究成果として、①キノロン耐性大腸菌やESBL産生大腸菌選択的培地の有効性を他施設共同研究として実施し、同培地の有効性を示すことができた。具体的には694例について同培地を使用し、217例(31.3 %)でキノロン耐性大腸菌が陽性であった。また、ESBL産生大腸菌は640例中85例(13.3 %)であった。分離された大腸菌株396株について、LVFXに対するMIC(微量液体希釈法)と本培地の結果を比較したところ、耐性/感受性の結果が91.7 %一致し、選択培地の感度と特異度はそれぞれ96.8 %、88.2 %であった。前立腺生検の合併症である急性細菌性前立腺炎については、他の報告で約2 %と報告されているのに対し、この選択培地を使用することで0.8%まで低下させることができ、平成27年9月の国際化学療法学会で報告した。②急性単純性膀胱炎患者を無作為にセフジトレン ピボキシル3日間または7日間投与に割付し、両群間の治癒率を検討、両群間に差がないことを示した研究については、日本化学療法学会西日本支部総会で報告した。③昨年度に報告したフルオロキノロン系抗菌薬の精巣、精巣上体への移行性とともに、マクロライド系、経口セフェム、ST合剤の組織移行性も検証し、平成28年3月の欧州泌尿器科会議で報告した。以上の臨床研究に基づいて、薬剤耐性大腸菌が原因の尿路性器感染症患者に対する有効な治療を行った。実験研究では、平成27年度の臨床研究で分離したESBL産生大腸菌のMLST(multilocus sequence typing)解析と耐性遺伝子タイピングを行った。その結果、22株中14株がST131で、11株がCTX-M-27耐性遺伝子を保有していた。
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臨床泌尿器科
巻: 69 ページ: 636-643